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名バイプレイヤーで新三大~グランシュヴァリエ編~

俺「どうする?やる?」
弟子「やんなさいよ。」


俺「いざ話そうとすると、非常に長くなって面倒なんだよね。コレ。」
弟「あのなぁ・・・何度約束破りゃ気が済むんですか・・・」
俺「だって月曜の夜だぞ。」
弟「・・・」
俺「競馬ブログ的には最も頑張りが無駄になる曜日。」
弟「月曜は毎回しょーもない話ばっかだからな・・・」

俺「・・・よく考えたら、この話もしょーもなさで言ったらバツグンだもんね。」
弟「そうだよ、スゲェしょーもないと思う。」

俺「じゃあやんなくていいじゃん。」
弟「そういう問題じゃねーって言ってんの!!」


★はい、長くてメンドクセェ新三大です

俺「さてそういったわけで。」
弟「何気に楽しみにしてたんだよ。」
俺「そっか。」
弟「こないだの浦和記念も凄い頑張った。」
俺「地方中央交流競走に於いては重鎮みたいなもんなんだぞ。」
弟「そうなんだねぇ。」
俺「お前と本格的に競馬で遊ぶ様になってまだ、そんなに日が経ってないんだよね。実際。」
弟「有名な馬とかは復習感覚で色々調べるんだけど・・・流石に自分一人じゃあ
  グランシュヴァリエには辿り着けませんよ。」
俺「・・・いい言葉じゃないか、辿り着けないか。そうか。」
弟「ボク自身、この馬のことあんまし知らないもの。師匠がいつも『最強だ』とか言ってる割に、カッコイイ姿をあまり
  見た事が無いし。そりゃ地元高知では凄い馬なんでしょうけど・・・」
俺「そうだな。」
弟「浦和記念はカッコ良かった。だから今スゴく興味ある。」
俺「それは今更だねぇ。」
弟「?」

俺「全世界に何人のグランシュヴァリエファンが居ると
  思っているのだね?」

弟「・・・多分折笠騎手ファンと同じくらいだと思う。


俺「シンジケート組めるぞ。」
弟「・・・募金でもするつもりですか。」
俺「ここでね、グランシュヴァリエの魅力をまだご存知ではない数少ない皆様に、彼の魅力を知って頂ければ良いなぁ
  なんて思って、今日のこの新三大をお届けするのですよ。お前も含めてだ。」
弟「本当にそんな凄い馬なんですか?」
俺「凄いというか・・・」
弟「というか?」

俺「偉大だな。」
弟「・・・」


俺「んだよ、その顔。」
弟「イヤな予感しかしない。」
俺「まぁ聞けばどんだけ凄い馬か解るって。」
弟「そう思いたいです・・・」
俺「では改めて。今回のテーマはコレです。」

★日本人が知っておくべき、新・三大
『土佐の猛将、グランシュヴァリエの奥ゆかしい
 4着劇』


弟「すいません、やっぱ寝ていいですか?」
俺「テメェ、俺のテンションをブチ壊すなよ!!」


弟「だってもう4着って言っちゃってるじゃん・・・」
俺「4着にも色々あるだろうが。グランシュヴァリエの4着はな、そりゃもう凄いんだ。」
弟「・・・本当に?」
俺「まぁ聞けば解るって。彼がどれだけ偉大で優しいヤツかが。」


 まず有権者の皆様に訴えたいのが、この馬がグランシュヴァリエ

グランシュヴァリエ

 青黒い馬体をした高知競馬所属馬。
 父は日本ダービー馬のタヤスツヨシ、母ラストキッスは父に昭和の怪物マルゼンスキーを持つ
 超良血馬なのであります。


弟「・・・いきなりだけど、ちょっと待て。」
俺「んだよぉ。」

弟「んなこと言ったら大体の馬が超良血になるだろ!?」
俺「超良血なんだよ!!貴族なんだよ!!」

弟「だって・・・タヤスツヨシには失礼かもしんないですけどねぇ、サンデーサイレンス初年度産駒にしてダービーを
  優勝した馬ではありますけど、その産駒成績は同期のフジキセキの足元にも及ばないじゃないですか。」
俺「なんだお前、つよぽんバカにしてんのか。」
弟「アンタだろーが、バカにしてんのは!!」

俺「まったく嘆かわしいな。こんな偉大なグランシュヴァリエを誕生させたつよぽんをフジキセキの足元にも及ばない
  だなんて。」
弟「つよぽんゆーな・・・」


 2008年、2月。3歳の遅いデビューを府中で迎えたグランシュヴァリエ。先行好位から圧倒的一番人気のケイアイ
プラウドを並ぶ間も無くアッサリ交わし新馬勝ちを収め、ダート界の新星として産声を挙げるのであります。



弟「あれ。」
俺「なんだよ、ちょいちょい話を止めるなよ。」
弟「グランシュヴァリエも元中央なの?」
俺「そーだよ、まぁ都落ちでの高知転厩だよ。」


 新馬勝ちをアッサリ決めながらも、格上になると好戦止まりの成績が多かったグランシュヴァリエ。4戦目に500万下
条件を勝利、その後は年内好戦はするものの未勝利に終わってしまい、翌年には降級。再び500万下条件を勝利し、
1000万下条件クラスを昨年に続き走ることになります。
 しかし、この時の彼にとってはこのクラスが一つの大きな壁。2009年の10月、江戸川特別で自身初のシンガリ負け
を喫してしまい、このレースを最後に中央へ別れを告げるのであります。

 4歳暮れという早い時期での都落ち。次の彼の戦場は高知、転厩先は雑賀正光厩舎でした。



弟「南関じゃなくていきなり高知なんだ。」
俺「そうなの。でも地方馬としての初戦は川崎だったんだよ。」


 地方初戦、川崎の報知オールスターカップ。8番人気の低評価ながら早め先頭の積極策を取ったグランシュヴァリエ
は、ここで古豪マズルブラスト相手に真っ向勝負を挑み懸命な叩き合いの末に半馬身差の2着。

『中央では歯が立たなかったが、この地方の舞台なら戦える』

 歴戦の古豪相手の二着に、陣営は手応えを感じるのであります。
 しかし、当のグランシュヴァリエにはそんな考えは微塵もありません!!

『もっと強いヤツと戦いたい』

 そう、グランシュヴァリエ自身は、実は『低レベルな争いに飽き飽きしていた』のであります。



弟「はいはい。」
俺「あ!!信じてないな!!」


弟「・・・じゃあなんで中央でもっと頑張んなかったんだよ。」
俺「1000万下条件なんて、グランシュヴァリエ様にとっちゃムキになるだけカロリーの無駄だったんじゃねーの。」
弟「あのねぇ・・・」
俺「この馬とリーチザクラウンはだな、本気出したコトがあまり無いんだよ。」
弟「リーチ君をここで持ち出すなよ!!」


 この南関初戦を一つの足がかりに新天地である高知を戦いの場に変えたグランシュヴァリエ。案の定、南関とは
レベルが違う高知競馬、力を出す出さない以前の問題でした。とりあえず走れば勝てる、そんな環境に彼の馬体は
日毎衰えていってしまいます。
 そんな彼に対し、闘争本能を呼び覚ます為に陣営が取った手段が、無謀とも言える交流重賞への挑戦でした。
 高知の黒船賞、大井の帝王賞、門別のブリーダーズゴールド、船橋の日本テレビ盃・・・いずれも彼の単勝オッズは
人気薄。特に中長距離の後半3戦は単勝が3ケタ超えのオッズを示し、周囲からは『なんでこの馬ここに居るの?』
という冷たい目線を浴びる始末。
 その結果も勝者からは大きく離された掲示板外。しかし、グランシュヴァリエ当人は全くそんな意識を持っていま
せんでした。

『フリオーソとか言う馬が居たな、あとシルクメビウスだっけ?カネヒキリって馬も居たけど本調子じゃなさそう
 だったな、あの馬が本調子だったら相当強かったんだろうって思った。

 でもこのメンツ相手には本気出す価値が無い。』


 そう、グランシュヴァリエはここまで全く本気を出していなかったのです!!



弟「えっとね、師匠ね。」
俺「なんでしょ?」

弟「バカでしょ。」

俺「ひどいことをいわれた。」
弟「あのねぇ、何を勝手に『グランシュヴァリエがそう言った』ことにしてるんだよ!?」
俺「そう言ってるもん。」
弟「どこでどうやって聞いたんだよ!?」

俺「その証拠となるのが次のレースなんだけどさ、ここでようやくグランシュヴァリエ様が本気を出すんだよ。」
弟「本気って言われてもねぇ・・・」


 続くレースも傍からは無謀と言われるレース選択、盛岡のマイルCS南部杯(G1)。グランシュヴァリエはここで
一頭の強豪に目を奪われます。

 ダートG1を5連勝しこの舞台に望んできた同期の強豪、エスポワールシチーです。

 圧倒的な単勝支持率で、この舞台で1.0倍。マイルという距離に関して言えば絶対王者とも言える存在、その貫禄
溢れる姿を見て、グランシュヴァリエはこう思ったのです。


『やっと本気で戦える相手に巡り合えた』


弟「・・・」
俺「さすがグランシュヴァリエ。」
弟「もう好きにしてくれよ・・・」


 連覇を掛けて望むエスポワールシチーの包囲網は当然中央勢力。JDDの覇者テスタマッタ、3歳の強豪バーディ
バーディ
らが、この大横綱相手に虎視眈々とする中、グランシュヴァリエも静かな闘志を内に秘め、運命のゲートが
開くのであります。
 レースを引っ張るのは今でもお馴染みのセレスハント、そして交流戦での安定勢力オーロマイスター。それに続く
形でエスポワールシチー。やはり中央軍団が先頭集団を形成する中・・・

 その先頭集団にグランシュヴァリエが加わっている!!

 先行馬群の外側をピッタリと追走し、3角を周りセレスハントの行き脚が怪しくなると同時に猛然と外から襲いかかる
グランシュヴァリエ!!内では行き脚を鈍らせたセレスハントを捌くのに、エスポワールシチーがもがき苦しんでいる
状態で、直線弾けたのはオーロマイスター!!エスポワールシチーがようやく内を捌き前を狙うも時既に遅し、連覇は
オーロマイスターの優勝により阻まれるという結果に。二着にエスポワールシチー、そして遅れること2馬身・・・

 3着、グランシュヴァリエ!!

『初めて本気で走った。走ってる時は本当に興奮したよ、あの馬に勝てると考えただけでゾクゾクしたけど、
 彼も内側でごちゃついてしまい本気が出せなかったな。勝ち馬はあんまし見えてなかった。』


 後にこの様に語るグランシュヴァリエ。心地良い疲れと満足感を全身に感じながら、ふと周りを見渡し、彼はこう
思ったのです・・・

『俺、本気出しちゃダメなんだな・・・』 

 ・・・それもそのハズです。単勝1.0倍という絶対的支持を集めたエスポワールシチーの敗戦も然ることながら、
この時のグランシュヴァリエの単勝オッズは636.3倍・・・
 12頭立て11番人気の彼の激走と、圧倒的1番人気馬の敗戦によりざわめく場内。祝祭的な雰囲気は皆無で混沌さ
すら漂っていました。状況が飲み込めていない観客達の姿を見て、彼はひどく落胆したのです。
 三連単配当は131万。今の交流戦ではにわかに想像できないオッズ、大波乱の立役者となった彼は、このレース
を最後にリアルファイトができなくなってしまったのであります・・・



弟「ひどいオッズですね・・・でも凄いな。テスタマッタとバーディバーディの追撃を振り切ったんだ。」
俺「セレスハントはバテて大敗したものの、上位6頭中5頭は中央勢。6着テスタマッタから7着コロニアルペガサス
  までの着差は6馬身、そう考えると先頭のオーロマイスターから5馬身はあってもこの3着は凄いと言える。」
弟「た、確かに・・・まともに中央に勝ってるってことになりますね・・・」
俺「でもね、グランシュヴァリエ様がおっしゃってる通り、彼の激走は殆どの人が予想し得なかったことだったんだ。
  それを感じてしまったんだ。その経験が彼の悟りを開いてしまわれたのだよ。」


新・三大『土佐の猛将グランシュヴァリエの奥ゆかしい4着劇』①
2011年7月18日 第15回 盛岡マーキュリーカップ
『人が望む結果を作りながら意地を貫く!!』

 まず有権者の皆様に訴えたいのが、この南部杯後の彼は苦悩の道を歩むということ。
 続くJBCクラシックでは自分がどう走ればいいのか解らなくなってしまい、せっかくの強豪との対決だったというのに
7着に敗退、地元の高知戦では実力を出す必要も無く圧勝・・・走りの為のバランスがここでまた崩れてしまったので
はないか、そんな風に周囲は思っていました。流石にこの時はグランシュヴァリエ当人も

『パドックのトコにある掲示板見ながらいつも思ってた。強い馬に本気出したいのは山々だけど、
 俺んトコに書いてある数字がいつも3ケタなんだよ。アレが大きいってコトはさ、俺が走ることを
 望んでいる人が少ないってコトなんだ。知ってるんだよ。』


 と、結構ヘコんでいたことを自白しております。つまり彼は自身のオッズを把握して、自分が走ることによって喜ぶ
観客の姿が想像できなくなってしまっていたのです。
 高知で走る時はいつも1倍台のオッズだけど、ここでは本気で走るまでもなく圧勝。このギャップが彼を大きく苦しめ
ることになってしまうのです。

 年はとうに変わり2011年の夏、昨年激走した盛岡の舞台にそんな彼がまたもやって参りました。
 地方馬として中央を迎え撃つ9度目の舞台、マーキュリーカップ。

 中央4歳の若い男女、ゴルトブリッツミラクルレジェンドが人気を分け合う少頭数の舞台。人気の中心はやはり
中央馬達、8頭中4頭の中央馬が人気を集め、グランシュヴァリエは5番人気とは言えオッズは100倍オーバー、完全
に地方勢はナメられたオッズを形成するのであります。圧倒的な人気を背負うのはゴルトブリッツ、新進気鋭の上がり
馬で、ここは負けられない一戦として見られていました。

『かっこいい馬だったね。栗毛がきれいで。でも
 
本気で戦いたかったけど、あのオッズじゃな・・・」


 ここでも自身を苦しめたのはオッズ。またこの場所でも自分の本気は求められていないんだ、そんな落胆を胸に
彼はこのレースに望むのであります。



弟「グランシュヴァリエさん・・・」
俺「優しいヤツだろ。」

弟「常に本気出してりゃ、それなりのオッズになるのよ・・・」
俺「それ言っちゃダメェ!!!!!」


 ゲートが開き、まず先手を奪ったのが牝馬ミラクルレジェンド。しかしそれをすぐ交わすメイショウタメトモ、それに続い
てゴルトブリッツ、パワーストラグル・・・中央4騎が地方4頭と馬群を分けます。やはり能力の差か、まるで置き去りに
されるかの様に後方を進む地方集団の中に、グランシュヴァリエの姿はありました。
 二周目の3角に向けて加速する中央集団。これでいいんだ、私が出しゃばる必要は無い・・・堂々と後続を突き放す
中央の三頭を見て彼は溜息混じりに走るのであります、そんな中で・・・

『一頭若い女の子が居てね、かわいそうに。前の集団の脚に着いて行けなくなっちゃったんだな。』

 そう、二番人気のミラクルレジェンドが伸びを欠いてしまったのです。それに接近するグランシュヴァリエ。

『競馬ってのは前三頭でお客さんが馬券ってヤツを買って、その結果で喜んだり悲しんだりするんだろ?
 
じゃあこの娘は抜いてもお客さんには関係無いんだよね。』


 本気というまででは無いものの、中央勢二番人気だったミラクルレジェンドにグランシュヴァリエが並びかけます!!
懸命に抵抗するミラクルレジェンド、前三頭は完全に抜け出し体勢はゴルトブリッツ優勝で決着がついている最中の
4着争いは完全にマッチレース!!

『あの娘にはレースの厳しさを教えてあげる必要があったんだ。』

 後にそう語るグランシュヴァリエ、直線で付けた3/4馬身のリードは縮まるコトなくゴールを迎えるのであります。
 そのレース後の反応は彼にとって意外なものでした。

「ミラクルレジェンドに勝ったぞ!!」
「地方馬最先着、よくやった!!」


 オッズを荒らさずの健闘に、彼は喝采を浴びるのです!!
 このレースを新三大『土佐の猛将グランシュヴァリエの奥ゆかしい4着劇』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴ありがとうございました。



弟「・・・」
俺「どうだ、奥ゆかしいだろ。」

弟「バテたミラクル交わしただけだろ・・・」
俺「お前は何も解っちゃいない!!」


弟「師匠が大げさに言ってるだけじゃないか!!」
俺「違うんだって。現実にだよ、このレース後にミラクルレジェンドは真の開花を遂げるんだ。宿敵の女王ラヴェリータ
  に勝つことができたのは、ここでグランシュヴァリエにレースの厳しさと屈辱を味あわされたからこそなんだよ。」
弟「そうなの?」
俺「ミラクルはこのレースの後にこう言い残している。」

ミラクルレジェンド
『真横走ってたオジサンがキモかった。』


弟「何の参考にもなってねーだろ!?」
俺「『こんな気持ちは二度とゴメンだ』って強くなったの!!」

弟「・・・」
俺「あと二つあるし。」



新・三大『土佐の猛将グランシュヴァリエの奥ゆかしい4着劇』②
2011年11月3日 第11回 JBCクラシック
『本気を出せない葛藤が、別の本気を呼び起こす!!』

 まず有権者の皆様に訴えたいのが、やはり彼は大舞台で強豪相手でないと燃えないということ。
 この4着の後の地方馬同士のレースでは見せ場の全く無い敗戦となってしまうのです。

『弱い奴に勝ってもしょうがねぇだろ!?』

 本気を出せば勝てる、だがこんなメンバーで本気を出してもしょうがない。ひいてはそれが自身のオッズを下げて
いるというのに・・・普通のレースで圧倒的なパフォーマンスさえ出していれば、大舞台で気を使うことなく走ることが
できるというのに!!彼にはそれができないのであります!!



俺「イジメカッコワルイもんね。」
弟「もう師匠の好きな様に解釈してあげて下さい。」


 そんな中で迎えた競馬の祭典、JBC。この年のJBCクラシックは最早、この二頭の為だけのレースでした。
 スマートファルコンvsトランセンド

 地方交流戦で常に圧倒的な成績を残し続けてきた怪物スマートファルコン、それに対するは地方戦は初となる
ものの中央ダートG1を三勝、ドバイワールドカップでは2着という輝かしい成績を持つトランセンド。2010年、まだ
両馬が全盛を迎えていない時の対決以来の顔合わせに観客は歓喜しました。
 しかし、歓喜していたのは観客だけではありません。

『あの二頭は実際に会って「本気出しても勝てないかも」って思った。全力でぶつかり合える怪物が二頭も
 居るんだ、これ程うれしいことは無かったよ!!』


 グランシュヴァリエもヤル気満々なのであります!!
 彼自身、日本テレビ盃でこの二頭とは対戦を経験していました。しかし、あの時とは二頭共レベルが違う!!あの
時なら本気を出してしまえば勝てたかもしれない
が、今回は全力でぶつかっても勝てるかどうか解らない!!
 そう思い、ここで本気を出してお客さん達を悲しませてしまっても本望だという覚悟を内に、掲示板に目を向けたの
です。やはり自分のオッズは3ケタだ、そうだよ、こんな強そうな馬が二頭も居るんだ、当たり前じゃないか!!この
二頭になら全力出して構わない、多分そうしても負けてしまうだろう!!

 しかし、その覚悟は更に掲示板を見るにつれ、薄れていってしまうのです・・・

『お客さんには、三頭しか見えてなかったんだよね・・・』

 この時の人気は当然の如くスマートファルコンとトランセンドの一騎打ちを表していました。問題は三番人気以下、
ここが団子状態なら自分が三着になることで南部杯の様な悲鳴は上がらないだろう、そう思っていた彼の目に飛び
こんできたのは、3,4番人気と自分のオッズのギャップでした・・・

3番人気 シビルウォー 単29.2倍
4番人気 テラザクラウド 単59.8倍
8番人気 グランシュヴァリエ 単270.9倍

 ・・・構うものかと本気を覚悟した彼の脳裏に、南部杯のざわめきが蘇ってしまいます。彼はこのレースの後にこう
語っています。


『本気を出してしまったら、シビルウォーには
 勝ててしまう・・・それはダメだ。』



弟「はいストップ。」
俺「はいなんでしょう。」

弟「とりあえずシビルウォーのファンに謝っておこうか。」
俺「本当なんだもん!!」


 最高の舞台を前に、彼は苦悶するのであります。本気で走りたいという欲求、観客を驚かすワケにはいかないという
気持ち、どちらを優先するべきなのか・・・悩んでいる内に発走の時間が刻々と近づきます。彼の背には若き南関の
星、本橋孝太騎手。三度目のコンビとなる彼の手綱に従おう、グランシュヴァリエはそう心に決めるのであります。
 
 そのレースはあまりにも壮絶でした。ゲートが開くと同時にもうマッチレース、鋭く先頭を奪うスマートファルコン、追う
トランセンドの二頭が後続をぐんぐんと突き放していきます。高速なラップメーカーであるスマートファルコン、追えば
自分が潰れてしまうということを臆せずに、それを追いかけるトランセンドが完全に二頭の世界を作り出します。
 その夢の様な光景をはるか前方に、グランシュヴァリエは後方集団に控えました。無理はしないという本橋騎手の
判断は、辛いことに彼を道中の時点で夢舞台から落としてしまうのです・・・

『もう向こう流しの時点で、前に居る三頭には届かないって解った。だからこれでいいんだ。』

 もう前三頭と後続集団では、走っているレースが違う。前二頭の後にはシビルウォー、そのシビルウォーと4番手の
間には大きな差が生まれていました。この三頭で決まる、観客も後続も確信するのに時間は要りませんでした。
しかし、当のグランシュヴァリエは全く違う気持ちを持っていたのです。

『どうせ届かないの解ってるし、ここからなら本気出してもいいかなって。』

 3角から外を捲り上げ、一気に5,6番手に進出するグランシュヴァリエ。もう前を行く三頭は別の世界を走っている中、
本橋騎手のやっとのゴーサインに鋭く反応します。4番手のテラザクラウドさえ遥か前方、しかし彼の目標はここに
定められます。前に離され、走る気力を失ったテラザクラウドは最早、レース前に上位二頭相手に胸を震わせた彼の
敵ではありませんでした。
 テラザクラウドをキッチリ交わしたところが彼の4着のゴールとなるのであります。

 3着シビルウォーとの着差は2秒以上、これはもう向こう正面で付けられた差に他なりません。
 しかし、彼はここで一つの本気を出し切ったのであります。

 上がり3F、メンバー中最速の36.5秒。

 この上がり時計は、歴代の大井2000m戦でも目を見張るタイム。もしも、彼が必要以上に安全策を取らずとも、この
末脚を繰り出していたら・・・

『あぁ。シビルウォーの位置で充分だったんだよ。』

 このレースを新三大『土佐の猛将グランシュヴァリエの奥ゆかしい4着劇』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴ありがとうございました。



弟「うん。」
俺「うんうん。」
弟「やっぱりシビルウォーファンに謝っておこう。」
俺「ウソじゃねぇもん!!!!!」
弟「つーかさ・・・」
俺「なんだよ。」
弟「グランシュヴァリエさんの態度が奥ゆかしくないんだけど。」
俺「そうかな?」
弟「後付けで『本気なら勝ってたんだよ』って言う方は、奥ゆかしいとは言わないでしょうが。」
俺「うーん、確かに。でも性格はともかく成績としては奥ゆかしいでしょ。」
弟「奥ゆかしいってのは性格のコトでしょ。」
俺「・・・俺、自分のことを奥ゆかしいって思ってるんだけど。」
弟「ああ!!解釈できてねぇんだ!!」


新・三大『土佐の猛将グランシュヴァリエの奥ゆかしい4着劇』③
2013年11月20日 第34回 浦和記念
『まだ終わってなどいない、4着こそが彼の1着!!』

弟「こないだのレースだ!!」
俺「この浦和記念は頑張ったと思うよ、本当に。」
弟「ここでも本気じゃなかったとか言うんでしょ・・・」
俺「いや、ここのグランシュヴァリエは結構本気だったと思う。」
弟「え・・・?」


 まず有権者の皆様に訴えたいのは、6歳暮れからグランシュヴァリエが確実に衰えだしたということ。
 それまで本気を出せば勝てていた、そうだったかもしれない彼に、その可能性が無くなってきてしまったのです。



弟「・・・師匠言ってたね。」
俺「6~7歳までは、交流戦でまだやれるかもって望みを持ってたんだけどね・・・」


 それを表すかの様に、7歳暮れから今年にかけ、交流重賞ではなく地元戦メインにレーススケジュールを合わす様に
なってしまいました。そんな地元戦も今までは散歩感覚でも勝てていたのに、最近は取りこぼしが出てくる様になって
しまったのです。

『あの頃みたいにはいかなくなってきたね』

 寂しさを滲ませるグランシュヴァリエ、そこには3年前に南部杯で観客を呆然とさせた彼は居ません。
 高知での成績を買われ、メンバーレベルを考えても戦えるのではないかと見られていた今年の佐賀記念でも、彼は
オースミイチバンを懸命に追いかけるのがやっと。なんとか掲示板を死守したこのレースで、彼は自身の衰えを痛感
してしまうのであります。
 佐賀の中島英峰アナの素っ頓狂な実況を聞きながら、あの頃の様な末脚が出せたら直線で名前の一つも呼んで
もらえただろうに・・・と切なさを噛み殺しながら地元に戻った彼を、今度は本格的に老いが襲います。
 今までは勝てなくて当然とまで言われていたレースがメインのスケジュールから、今度は勝って当然のレースが
メインになるスケジュール。しかしこのスケジュールが若かりし頃にあった彼の闘争本能を削いでしまうのであります。
2013年の高知での彼の成績は5戦2勝・・・勝利レースも今までの様なブッちぎりな勝ち方は減ってしまいました。

『本気が出せなくなってしまったのか、今出していたのが本気なのか・・・自分でもよく解らない。』

 そんなレースを使っていた彼がいきなり交流重賞に現れても歯が立つわけがありません。あの激走を演じた舞台、
盛岡の南部杯・・・あの時とオッズこそそっくりな状態で迎えましたが、ここで彼は人生二度目となるシンガリ負けを
喫してしまうのです。
 立て続けにG1レース、JBCクラシックに出走するも後方追走から大きくバテた馬を交わすのがやっと。土佐の猛将
もここまでか・・・8歳となったグランシュヴァリエは、それまでの輝きを完全に失ってしまったかの様に思われました。



弟「・・・」
俺「もう厳しい、引退させるか地元でのんびり走ってもらうかした方がいいんじゃないか、本当にそう思ってたよ。」
弟「だからこそ、次のレースなんだよね。」
俺「そうだね、こないだの浦和記念だ。」


 しかし、このG1レースの連戦が彼の実力を呼び戻したかどうかは定かではないものの、再び彼にその実力が蘇る
のであります!!
 2013年の浦和記念は正にJBCクラシック崩れの様なメンバー構成。しかし流石に彼も今年は大口を叩く意気も失わ
れておりました。


『あの時なら勝てたシビルウォーにも、今じゃ正直勝てる気がしないなぁ。』


弟「どんだけシビルウォー嫌いなんだよ!?」
俺「いや、嫌いじゃないんだけどね・・・」



 白山大賞典の勝者エーシンモアオバー、古豪となったシビルウォー、復活を賭けるランフォルセ・・・中央の三頭
が人気の上で他を大きく突き放し、誰もがこの三頭の決着を事前予測できるレベル。過去に重賞戦線で健闘してきた
グランシュヴァリエはと言えば、それはまるで過去のこととされたシンガリ人気、単勝281倍
 自分のオッズを見ても、もう鼻でせせら笑い『だろうね』と言える程、彼は落ち着いていました。
 しかし、ここで彼は今年最大の輝きを放つのです。

 ゲートが開くと真っ先に飛び出していったのは南関のマグニフィカ。ハナを叩けずにエーシンモアオバーが続き・・・
 グランシュヴァリエ3番手!!

 まさかの先行、中央組を後ろに置いてのレースになるのです。延々と外を回りながらの積極策、二周目に入ると同
位置に付けた最内のケンブリッジエルが失速、マグニフィカとエーシンモアオバーが相変わらず果敢に飛ばす直後に
ピタリと食らいつく彼を、勢いよく交わして上がるシビルウォーとランフォルセ。

『そうだよなぁって思った。で、それでいいじゃんって思った。でもねー・・・』

 直線を向くとマグニフィカは一杯になり後退、シビルウォーとランフォルセがマッチレース状態になり、三番手にエー
シンモアオバー。後続には10歳ながらも交流競走で健闘を続けるダイショウジェット。しかし・・・

 末脚を失ったエーシンモアオバーとの差を徐々に詰める
 グランシュヴァリエが!!

 まさかの事態にどよめく場内、最低人気の彼が上位三頭の一角を崩さんとエーシンモアオバーを狙います!!
しかし浦和の直線は短い、開いた差を2馬身程に詰めたところがゴール・・・しかし彼の存在が多くのガチガチ馬券に
スリルを与え、

「あとちょっとでエーシンモアオバー差せてた!!」
「流石はグランシュヴァリエだ!!」


と、久しぶりの大舞台4着に、大きな喝采を浴びることと
なったのです!!






 レース後に彼はこの様に語っています。

『自分自身あんなに走れるとは思ってなかったよ、やれるもんだね。
 オッズ思い出して止まらなかったらアイツ抜いちゃってた
 けど、思い出せて良かった。抜かずに済んだよ。』


 彼にとって、人気薄での4着は1着と同じなのです。多くの観客の馬券を散らさずにレースを続ける紳士な彼は、
正にその名の通り

Grand Chevalier = 偉大な騎士(仏)

 なのであります。
 このレースを新三大『土佐の猛将グランシュヴァリエの奥ゆかしい4着劇』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴ありがとうございました。




弟「なんとも凄い馬なんですねぇ。色々と。」
俺「カッコイイでしょう。」
弟「ちょっと傲慢ですね。」
俺「それは俺のキャラ付けによる問題かと。」
弟「でも味のある子なんだなーってのはよく解った。確かに地方馬の中では強豪ですね。」
俺「本当にねぇ、フツーに地方馬同士の交流戦も走っていればねぇ・・・」
弟「そういうとこだと弱かったんだね・・・」
俺「弱いっつーか本気出さないものだから・・・」
弟「そこんところが妙に本当っぽいよね。」

俺「地方レースでも中央交流重賞か地元戦ぐらいなんだよ、南関戦とか全然だもん。移籍初戦の報知ぐらいだよ、
  連に絡んだのって。」
弟「これだけ大舞台で走ってるのに!?」
俺「ヒネクレてるでしょ。だから大好きなんだよね。」
弟「応援する面白さは強い子なんだろうなぁ。」

saikyoubanosyoumei.jpg

俺「毎回本気出せよなぁ~。」
弟「だからコレは間違いだってば・・・」





※ご清聴ありがとうございました

  

PLEASE!! 1Day 1~10Click!!

[ 2013/12/03 01:27 ] 新三大ごっこ | TB(0) | CM(16)

名バイプレイヤーで新三大~第四回~

★久しぶりですね

俺「コレ結構メンドクサイのよね。」
弟子「そう言いながらもやるっていう。」


俺「話してて楽しいんだけどさ。」
弟「・・・いいテーマで話をしましょうよ、このコーナーで取り上げられる馬って結構可哀想なんですよ。」


1 新・三大『イブキタモンヤグラのセクハラ競走』
2 新・三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場でニセモノ扱いされた問題のレース』
3 新・三大『マチカネタンホイザの間の悪い発病』


俺「素晴らしい馬達ばかりですよね。」
弟「そういう話になってねぇんだよ!!」


俺「つまりは俺を驚かせたコトが三度あるG1未勝利馬ってのを取り上げてるんだけど。」
弟「驚いた理由がさ・・・可哀想なんだもん。」
俺「今回は真っ当に行きましょうか。」
弟「ホントにぃ?」
俺「マニアックではないが、かなり血統通を驚かせたのは間違い無い一頭だな。」
弟「ほほー。」
俺「血統予想は俺も好きだ。ロマンを感じるし、説得力も多分にあるからね。」
弟「ボクは結構疎いんですよねぇ、血統。」
俺「血統に関しては、その種牡馬の現役時代のイメージ産駒の実績データが大きいと思うんだ。だから海外から
  の導入種牡馬は初年度を見ないとなかなか判断できないってのが多いんだよね。個人的にはバゴの子が日本で
  良成績を出せたコトに驚いちゃってるけど。」
弟「菊花賞から障害まで。」
俺「ビッグウィークさん、頑張って欲しいもんだ。」
弟「血統で考えやすいのは距離適性なんですかね?」
俺「そうだね、あとは芝ダート適性や馬場適性とか。でもさー、お前でも解るだろうけど、こういう場合お前なら
  どうする?」

・母父マックイーンのステイゴールド産駒がスプリンターズSに出てきたら
・サクラバクシンオー産駒が3000m級のレースに出てきたら


弟「うーん、それまでの実績の方を重視しますけど。でもまずにわかに想像できない感じがしますね。」
俺「まぁ、そんな感じの馬の話だ。」

★日本人が知っておくべき、新・三大
『メガスターダムの血統無視した三冠戦』


弟「お、なんか聞いたことあるぞ。」
俺「度々俺も話の中で名前を出す馬だからな。」
弟「凄い馬だったんですか?」
俺「まずこの馬が居た世代が凄い。そこも交えてお話ししましょう。」


 まず有権者の皆様に訴えたいのが、この馬がメガスターダム

メガスターダム

 日本の誇る名短距離馬、
 ニホンピロウイナーの産駒なのであります。


弟「ニホンピロウイナーって・・・いつの馬でしたっけ?」
俺「当然俺もリアルタイムではお目にかかってないが1980年代を代表する競走馬の一頭として数えられる馬だ。
  ミスターシービーと同じ世代に生まれ、この時代はまだ短距離路線ってものが開拓されておらずスプリンター
  は不遇の時代。その中で長距離ならシンボリルドルフ、短距離ならニホンピロウイナーとまで言わしめた
  馬なんだよ。」
弟「ほほー。」
俺「当時はまだスプリンターズSは無かった。高松宮記念もスプリントG1じゃなかった。1200mのG1が無かったんだ。
  もしもこの時代にスプリントG1があったらニホンピロウイナーが総ナメにしていたんじゃないかって程、短距離で
  無類の強さを誇った馬なんだってさ。」
弟「サクラバクシンオータイキシャトルみたいな馬だったんですね。」
俺「乱暴に一緒くたにしちゃうのもどうかと思うけど、解りやすく言えばそうだね。」
弟「全然関係無い疑問なんですけど・・・」
俺「お、なんだい?」

弟「ニホンピロの『ピロ』って何?」
俺「なかなかナイスな疑問だね!!」



★ニホンピロの『ピロ』とは・・・
馬主である小林百太郎氏がオーナーを務める大阪の会社、『日本ピローブロック株式会社』から取られている。
ピローブロックとはベアリング式の軸受ユニットのことであり、馬とは全く関係が無い
2001年より、関連会社として競走馬の管理を行う『(有)ニホンピロ・レーシング』を設立。
ニホンピロの冠名は40年以上の歴史を誇っており、現在でも多くの活躍馬をターフに送り込んでいる。


俺「蓋を開けてみりゃこんなもんなんだけど。」
弟「まぁ解りやすいって言えば解りやすい理由ですね。」
俺「それでも昨今ではニホンピロアワーズの活躍もあるし、息長く順調に馬主を続けていられるってコトは素晴らしい
  コトだよ。」

 ニホンピロウイナーと言えば、自身の成績通りに産駒も短距離傾向が強く、安田記念連覇と天皇賞秋を制覇した
ヤマニンゼファーや、スプリンターズSと高松宮記念を制覇した快速牝馬フラワーパークの印象が非常に強く、逆に
長距離では2100m以上では産駒未勝利という徹底した短距離種牡馬の印象が非常に強い馬だったのです。

 メガスターダムはその血統ファンの常識を軽々と打ち破った馬なのであります。
 
 何より生まれた世代が強烈でした、同世代にタニノギムレット、シンボリクリスエスという2大怪物が居た他、問題
ノーリーズン、後にG2最多勝という珍記録を打ち立てるバランスオブゲーム
そして我らがローエングリン


弟「話題がズレていきそうですね・・・」
俺「大丈夫、ローエングリンさんはクラシック戦では菊花賞しか出てないので。」
弟「菊花賞の話もするんですよね、三冠戦って言ってたってコトは。」
俺「する。そこがメインだもの。」
弟「なんかイヤな予感するなぁ・・・」

 群雄割拠のこの時代に生を受けたメガスターダム、新馬戦はニホンピロウイナー産駒らしく1000m戦を使われます。
前評判も非常に高かった彼、単勝1.5倍という圧倒的な評価を背に迎えた新馬戦でしたが、そこで6着と期待を裏
切ってしまったのです。

 どうも短距離が向いてないらしい・・・

 血統は父が短距離馬のニホンピロウイナーでありながら母父は長距離性能も高いマルゼンスキー。ひょっとしたら
この馬はスプリントやマイルよりも中距離に向いているのではないか。そう実践で判断した陣営は次のレースに1800
m戦を選択し、ここで4着。次も1800m戦を選択しここでも4着。好戦はするものの勝利できず歯痒い成績を重ね、舞台
を札幌から京都に移し未勝利脱出を試みるのです。
 洋芝が合わなかったのか、距離がやはり長かったのか。京都マイルで迎えた4戦目を2着とし、続く京都1400m戦で
も2着。

 やっぱ短距離馬なんじゃねぇか・・・

 陣営やファンを悩ませつつ、同じく京都1400mで迎えた5戦目で彼はようやく未勝利脱出となるのです。



弟「手間取ってるなぁ・・・ここまで聞くとそんな強い馬に思えないね。」
俺「そうだねぇ。血統的に見ても、この時既に父ニホンピロウイナー母父マルゼンスキーってのは古臭い血統
  なっちゃってるんだよね。」
弟「もうこの時ってサンデーサイレンス産駒走ってるんだっけ?」
俺「走ってるよ。でもこの世代ってサンデーサイレンス産駒不遇の世代だったんだよ。」
弟「ハズレ年ってやつだ。」


 続く500万下条件のマイル戦、ここでも堅実に2着に好走。相手なりな印象を持ちつつも、未だにどの距離がこの馬
にとってベスト条件か解らないまま、陣営は思い切って重賞に登録するのです。ラジオたんぱ杯2歳S、現在で言う
ラジオNIKKEI杯2歳S。出世レースとして知られるこのレースには、2戦2勝で東京スポーツ杯2歳Sを制したサンデー
サイレンス産駒のアドマイヤマックスという絶対的な存在が居ました。単勝1.4倍と他を圧倒した人気。そんな中で
メガスターダムは6番人気。単勝オッズは50.3倍。主戦を務めていた松永幹夫騎手も別の馬に乗っていたこともあり
大体の判断は『未勝利脱出にここまで手間取ったこの馬では無理』という見解が妥当だったのです。

 でもここでなんと勝利を納めてしまうのです!!



弟「変な馬ですね・・・」
俺「先行押切りって感じだったんだけど。松永騎手は悔しかっただろーなぁ。ここの渡辺薫彦騎手はなかなかカッコ
  良かったぞ。」
弟「2000m戦ですよね?」
俺「1400~1600mでここのところイイ成績を挙げてたから、やっぱりニホンピロウイナー産駒だなぁって印象を持った
  人が大半だろうね。2000mじゃ長いだろうって。」
弟「そう思うよねぇ。」


 一気に重賞ウイナーに上り詰めたメガスターダム。三歳を迎えクラシックを狙うべくきさらぎ賞、スプリングSに出走
するも、なんともビミョーな敗退を繰り返してしまい『やっぱりラジオたんぱはフロックだった』という目で見られる
様になってしまうのです。そんな状況の中でメガスターダムはクラシック第一冠、皐月賞の舞台を迎えます。

新・三大『メガスターダムの血統無視した三冠戦』①
2002年4月14日 第62回 皐月賞
『大波乱の影で静かに胎動する異端児の予兆!!』


 重賞三連勝を飾って駒を進めてきたタニノギムレットが1番人気になるも、この皐月賞の人気は割れていました。
メガスターダムはと言うと完全に見切りを付けられた形、18頭中16番人気で単勝119.5倍という低評価。
 レースはきさらぎ賞を制したサクラバクシンオー産駒のメジロ馬、メジロマイヤーが引っ張る形で、メガスターダムは
中団よりやや前側。人気どころはタニノギムレットを始め後方からの末脚に掛けます。前半1000mを59秒2で通過し
先行集団の隊列は安定した加速。4角でメジロマイヤーが二番手集団に捕まると一気にレースが激化します。

 内側の馬場が止まらず、末脚を外に求めた馬の中で伸びてきたのはタニノギムレットただ一頭!!前では13番
人気のダイタクフラッグと8番人気のタイガーカフェがやり合う
という
あまりにもなんだコリャな展開に!!
 しかしそのレースに終止符を打つべく、馬場の中央を伸び、強靭な末脚でそれらを一瞬で置き去りにした一頭の
馬が現れました!!

 15番人気のノーリーズンです!!
 
 タニノギムレットが外から猛追を見せるも時既に遅し。突き抜けたノーリーズンと前での競り合いを制したタイガー
カフェをわずかに捉えきれずの3着。そして4着にはダイタクフラッグが残り
 
 ちゃっかり5着にメガスターダムが残っていたのであります。

 レースタイムは1分58秒5というレースレコード樹立のハイペースな激戦でありましたが、掲示板を見てみると
単勝100倍超えの馬が3頭も居るという結果に!!
 
 ここでの結果は人気馬がタニノギムレット以外総崩れだったので、展開のアヤとも言われたレースではありました
が、確実にメガスターダムはこの世代の中で戦える素材であることも証明された一戦なのでした。このレースを、
新三大『メガスターダムの血統無視した三冠戦』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。


俺「まぁ、ここは序章みたいなもんです。ヤマニンゼファーだって天皇賞秋を勝ってるんだし。」
弟「そうですね、マイラーなら2000m対応できてもおかしくないもんね。」
俺「じゃあ2400mならどうだろう?」


新・三大『メガスターダムの血統無視した三冠戦』②
2002年5月26日 第69回 東京優駿
『お前は本当は誰の子なんだ!?2400mでニホンピロウイナー産駒が見せた意地!!』


 まず有権者の皆様に訴えたいのは、皐月賞で5着に好戦したメガスターダムはこの後2200m戦のプリンシパルSに
出走し、ここで見事な勝利を飾ったということ。実はこの時点で彼は、

ニホンピロウイナー産駒としての最長距離勝利を達成した
ことになったのです。



弟「・・・やっぱスゲェんだな、血統って。」
俺「ちなみにサクラバクシンオー産駒の最長距離勝利は現時点で2000m。しかもこれは条件戦だからねぇ、やっぱり
  血統から距離適性ってのはある程度見れるんだなと証明できるね。でもバクシンオー自体は血統見ると中距離
  っぽいってのが面白い。」


 皐月賞で5着、プリンシパルSを勝利となれば本番での人気はどうなるか。予想する者は悩んだのであります。

 『ニホンピロウイナー産駒だぞ、オイ・・・』と。

 かつてミホノブルボンが延々と血統的、馬体的に距離に対する不安を囁かれていたのと同じように、メガスターダム
も不安の大きい存在だったのです。プリンシパルSを勝っているとは言え、今回更に200m距離が伸びる。それがこの
馬に対してどのように影響するか、血統予想家は半ば困惑の眼差しをメガスターダムに向けたのであります。

 その結果、東京優駿での人気は9番人気で単勝27.5倍。皐月賞の時の評価からは格段に上がりはしたものの、
やはり信用ならない存在という穴馬としての見解が強かったのであります。

 今回の人気は『今度こそ』の思いを受け、皐月賞3着、NHKマイルカップ3着からの巻き返しを狙うタニノギムレットが
ここでもまた1番人気。続いて皐月賞馬ノーリーズン、そして青葉賞で圧倒的なパフォーマンスを見せた超新星、
シンボリクリスエス。今回はこの人気三頭で決まるだろう、皐月賞の様な波乱はない。この三頭が4番人気以下を
突き放すオッズを形成したのであります。しかし疑念が残るの4番人気以下。ここでは単勝100倍を超える馬が
フルゲートで一頭もいないという奇妙なオッズを呈していたのです。

 頂点を決める一戦、レースを引っ張るのは最低人気のサンヴァレー。二番手以下の先団は皐月賞と同じように
バランスオブゲームとダイタクフラッグとタイガーカフェ、そしてメガスターダムという形。皐月賞とダービーは異質で
あるとは言え、皐月組は皐月賞と同じ作戦で先行するのであります。その中には後にダートのスーパーホースとなる
ゴールドアリュールの姿もあります。
 淡々とした流れでほぼ序盤の隊列が崩れず、サンヴァレーは単騎。前半1000mを1分1秒7というゆったりとした流れ
で向う正面から3コーナーへ。ここで松永騎手は仕掛けを遅らせるのであります。少し置かれる様になったメガスター
ダム、サンヴァレーを交わして一気に先頭に立ったマチカネアカツキを目標に各馬が怒涛の仕掛けを打ちます。が、
ここでは役者が違ったのがタニノギムレット!!

 先行集団何するものぞと言わんばかりの末脚が今回は炸裂、熾烈な2着争いをあざ笑うかの様にキッチリと1馬身
交わし、念願のタイトルを得るのであります!!2着争いは4頭が真横に並ぶ形で接戦、真っ先に突き抜けたマチカネ
アカツキをかろうじて交わす形でシンボリクリスエスが2着、その直後に・・・

メガスターダムが居るではありませんか!!

 そう、彼は先行集団のやや後方からシンボリクリスエスと共に伸びてきたのです。前に居たマチカネアカツキには
届かなかったものの、粘りを見せたゴールドアリュールをなんとか交わし、皐月賞5着からダービー4着に着順を上げ
てきたのです!!

ニホンピロウイナー産駒なのに、距離が伸びたら着順も
上がってしまったのです!!


 このレースを、新三大『メガスターダムの血統無視した三冠戦』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「サクラバクシンオーの例からすると、結構とんでもないコトの様に思えてきた。」
俺「ミホノブルボンも結構凄いけどさ、ブルボンの場合は当時としては特殊なトレーニングの賜物なんだよね。
  2002年にニホンピロウイナー産駒でダービー狙うってコト自体がアバンギャルド過ぎる。そこが狙えちゃう
  異端児だったってコトだよなぁ。」
弟「馬主さんだって『よぉし、この子でダービー狙っちゃうぞぉ!!』なんて思ってなかったでしょうし。」
俺「当初はそんな考え無かっただろうな。」
弟「でもこれでメガスターダム君は認めてもらえそうですね!!」
俺「そうなんだよ、認められるんだ。
  そして、やっちゃうんだよ。」
弟「!?」


新・三大『メガスターダムの血統無視した三冠戦』③
2002年10月20日 第63回 菊花賞
『もう血統信じない!!大波乱の菊花賞で見せた彼の本性』



 まず有権者の皆様に訴えたいのは、この年の菊花賞にはダービーの1,2着馬が出なかったということ。

 そう、なんとなく残念な感じの菊花賞だったのです。


弟「・・・確かに残念だよ、それは凄い残念です。でもさぁ・・・
  
もっと他の言い方してくんない!?」

俺「素直でいいだろ、その時の気持ちを思い返すとこうなるんだもん。」
弟「・・・冒頭の方で言ってじゃないか。ここでローエングリン君が登場するんでしょう?」
俺「するねぇ・・・」
弟「じゃあいいじゃん、残念じゃないじゃん。」
俺「・・・」
弟「?」

 しとしとと10Rから降り始めた雨が不穏な空気を漂わす京都、ダービーの1、2着馬は不在でもここには皐月賞馬が
居るではないか、大波乱の皐月賞馬となったノーリーズンがここでは1番人気に推されるのであります。続く2番人気
は春夏を棒に振ったものの長期休養明けのセントライト記念で2着に好走し、復活が期待されるアドマイヤマックス。

 そして3番人気にニホンピロウイナー産駒のメガースターダム
が支持を集めてしまったのであります!!


 皐月賞5着、ダービーで4着、秋初戦となった神戸新聞杯では上位に突き放されての4着だったもののクラシック戦
になってからは大崩れの無い堅実さ、そして何より、

 「この血統で菊花賞に出てくるとは大したものだ!!」

 という血統ファンの驚き。ダービーの時は疑心暗鬼の原因であった血統が、この菊花賞では応援という形になって
表れたのであります!!
 そして続く4番人気、3歳にして宝塚記念に挑戦し3着になった特攻逃げ馬、
 我らがローエングリン!!



弟「おお、出てきた出てきた。」
俺「ま・・・まぁね・・・この話じゃ主役じゃないし・・・」
弟「?」
俺「まぁとにかく、色々と強烈なレースだったんだよ、この菊花賞は。知ってる方も多いでしょうけどね。」


 暗雲渦巻く菊花賞のゲートが開きます、
 と同時に1番人気のノーリーズンが落馬!!
「落馬にも勝利にも理由なんて要らない!!」と言うが如く、
彼は早々とレースから脱落してしまったのです!!



弟「Oh・・・」
俺「ユタカさぁん・・・」

弟「『競馬に絶対は無い』って思い知らされる瞬間ですねぇ。」
俺「ちなみにあとで映像も見せるけど、落馬直後のユタカさんの行動が珍妙なんだよね。」
弟「珍妙ってアンタねぇ・・・」
俺「後で知ったコトなんだけど、競馬ではこんなルールがあるんだな。だからユタカさんはあんな動きしてたんだ。」

※案外知られてないルール
落馬した地点から再度乗る事ができれば、レースを再開する事は可能

弟「無理があると思うけど・・・」
俺「いや、実際コレで勝った例は無いんだけどさ。ユタカさんもこの時『もう無理』ってすぐ諦めたんだけど。そしたら
  もうコロコロ転がっちゃってたっていう。」
弟「でもやろうとしてたんだ・・・」
俺「1番人気なんだもん・・・」


 いきなり大波乱確定になってしまった京都は大いにどよめきます。そんな中先手を奪ったのが皐月賞、ダービー共
に先行したダイタクフラッグと我らがローエングリン。どよめきが収まらない中、一周目のスタンド前を先頭で駆け抜け
たのはローエングリン、鞍上は名手岡部幸雄。名手の手綱に導かれ、

3000mのレースで前半1000mを58.3秒で通過するのです。


弟「Oh・・・」
俺「岡部さぁん・・・」


弟「スゲー速い・・・」
俺「まぁ、こうするしかない馬なんだけども。」
弟「ローエングリンって結構無謀な逃げ打つイメージ強いなぁ、師匠の話聞いてると。」
俺「そこが見てて面白かったんだよ、この菊花賞もさー・・・一周目でさー・・・
  ああ、やっちゃったなぁって・・・」
弟「・・・」
俺「ここまでキャリアは少ないし未知数だから、もしかしたら・・・って気持ちも多少あったんだけども。」


 一周目のスタンド前を通過する頃には既にダイタクフラッグの逃げ足は鈍り、ローエングリンの単騎となり二周目に
突入、二番手以降はややバラけた状態になり向こう正面へ。メガスターダムはその集団の中団へ付け、仕掛けの
タイミングを図るのであります。
 レースが動き出したのは3コーナー手前。単騎で逃げていたローエングリンと集団の差が詰まると、後続と先行集団
との差が一気に縮まり3コーナーに入る頃には団子状態、ここを勝負どころと睨んだ松永幹夫!!

 コーナーで捲りメガスターダムが、ニホンピロウイナー産駒が
淀の3000m、最後の直線で堂々と先頭に立つのです!!


 一番人気ノーリーズンが早々と脱落、四番人気ローエングリンがダイナミックに逆噴射、二番人気のアドマイヤ
マックスが完全に伸びを欠く中、血統的に場違いな三番人気馬が菊の舞台で踊る!!しかし!!同じ様な仕掛け
で先頭に並びかけてきた一頭の芦毛馬の方が脚色が良い・・・!!

 波乱を呼ぶ芦毛馬、10番人気のヒシミラクルです!!

 直線での攻防はこの二頭に絞られた、後続から伸びてくる馬は居ない!!前を行くメガスターダムにヒシミラクルが
並びかけると、差は付かないものの勝負が決してしまうのです・・・勝つのはヒシミラクルだ・・・と、思った矢先!!

 外から飛んできたのが16番人気のファストタテヤマ!!!

 先頭を争う二頭に一気に迫った彼、メガスターダムはヒシミラクルに半馬身程のリードを付けられる中、凄まじい
末脚で先頭に襲いかかる16番人気馬。ゴール線ではヒシミラクルとファストタテヤマが真横に並び、メガスターダムは
この二頭に半馬身程遅れ3着での入線・・・結局このレースを制したのは後に天皇賞春、宝塚記念でも波乱の勝利を
飾ることになるヒシミラクル。ファストタテヤマとの接戦をハナ差制し、波乱の主役となったのです。
 この菊花賞の配当は馬連96,070円、馬単が182,540円、三連複が344,630円という高配当を記録。皐月賞に続き
大波乱となったこの世代のクラシックの中で、メガスターダムという血統の異端児は主役にこそなれなかったものの
確実に輝いていたのであります。

※その菊花賞の動画がコチラ


 このレースを、新三大『メガスターダムの血統無視した三冠戦』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「かっけぇなぁ。」
俺「ニホンピロウイナーの産駒が皐月賞で5着、ダービーで4着、菊花賞で3着と距離が伸びてパフォーマンスを上げて
  きたんだよね。」
弟「確かヒシミラクルってサッカーボーイの産駒ですよね?長距離戦で強いイメージだけど。」
俺「サッカーボーイ自体はマイラーってイメージなんだけど、この馬の子が長距離で強い理由って血統面で裏付けられ
  てるんだよね。サンクタスからのスタミナが豊富な血統背景が産駒に出たんだ。ナリタトップロード、ヒシミラクルが
  3000m級の大レースで勝利できたのは、サッカーボーイに隠されたスタミナ性能が大きいんだね。」
弟「面白いね。」
俺「で、忘れちゃいけないのがファストタテヤマ。京都3000mと言えばダンスインザダーク、三頭の菊花賞馬を出した
  この馬の子なんだな。」
弟「つまり、父馬という点では1,2着は純然たる長距離種牡馬産駒だったと。」
俺「サッカーボーイが二頭の菊花賞馬、ダンスインザダークが三頭の菊花賞馬の父であるのに対してのニホンピロ
  ウイナーだ。本当に凄い馬だと思うよ。」
弟「本当ですね。」
俺「この馬の凄いところはコレで終わりじゃないんだ。実はこの菊花賞の後に屈腱炎を発症してしまい、長期戦線
  離脱を余儀なくされてしまうんだが。」
弟「あら・・・」
俺「2年以上のブランクを経て、準オープンに降格しての復帰になった彼は、復帰3戦目の松籟S
  2400m戦で壮絶な叩き合いの末、同着勝利を飾るんだな。」
弟「おおおお・・・」
俺「しかもメンバー中トップハンデの58kgを背負ってのオープン返り咲き。」
弟「たくましいですね・・・!!」
俺「屈腱炎明けでニホンピロウイナー産駒の最長勝利距離を更新しちゃったんだよ、準オープンとは言え凄いこと
  だよね。」
弟「カッコイイね、異端児にして不屈なんだな。」

俺「その後重賞も取っちゃうし。」
弟「すげえええ!!!!!」


俺「2005年の中京記念。55kgでそれまでの実績があるとは言え、屈腱炎で2年以上休んでいた馬なんだよ。この
  レースで好位追走からの抜け出しという菊花賞に近いパターンで勝利しちゃうんだよなぁ。凄い馬だよ、ホント。」
弟「その後はどうなったんです?」
俺「大阪杯で重賞連勝を狙うもここで5着に敗れ、天皇賞で巻き返そうとするも屈腱炎を再発し引退してしまった。」
弟「天皇賞に出てたらって考えちゃうね・・・」
俺「距離が伸びて強いニホンピロウイナー産駒という異色の存在、そして屈腱炎から一度は立ち直った不屈の闘志
  から、とてもファンの多い馬だったんだよ。」
弟「うん、応援したくなっちゃうね。」
俺「主戦を務めていた松永幹夫元騎手が彼を種牡馬にするために努力してね、引退後種牡馬になったんだけど産駒
  成績は振るわず、2010年に種牡馬を引退。以降はこのランクの馬にありがちな消息不明状態の様だね。」
弟「こんな凄い子なのに・・・」
俺「ファンの多い馬だ。俺も好きな馬だったし、是非とも無事で居てほしい。何か知ってる方が居たら情報頂けたら
  幸いです。」





※ダビスタやってた身としては、結構衝撃的な馬でしたね。





とりあえずクリックされるとサボれなくなるみたいです

[ 2013/08/30 23:37 ] 新三大ごっこ | TB(0) | CM(8)

名バイプレイヤーで新三大~第三回~

俺「えーとですね・・・」

アンケートで読者さんからツッコミ
「何で川田さんだけ呼び捨てなの?」


Baidu IME_2013-5-8_16-44-8


俺「スイマセン川田騎手、コピペして騎手抜いちゃいました。」
弟子「あーあ。呼び捨てにした。川田騎手に恨まれるんだ。」
俺「直しますので・・・頑張って下さい。」
弟「あーあ。」
俺「引っ張るなよぉ、恨みも何も無いんだから・・・むしろ佐賀競馬ではお世話になっているんだぞぉ。」
弟「里帰り重賞、結構やるよね。川田騎手。」
俺「俺は川田騎手好きだよ、馬のコトを子っていうトコとか。」
弟「わぁそうなんだ!!それはきっとイイ人だ!!」
俺「まぁ嫌いな騎手って居ないんだけどさ。」

追記:川田騎手、ごめんなさい・・・項目直せないや・・・


★適当に今日の結果

俺「アメイジアとロゴタイプはいい子。」
弟「単勝で来てくれる子はいい子ですね。」

東京湾カップ 結果
1着 アメイジア 俺◎
2着 キタサンオーゴン
3着 イブアルヴ

俺「2倍だけどいい子いい子。でもあの感じだと距離伸びてどうかなー。ゴール前きわどかったし。」
弟「フルーツサンデーはダメだった。」
俺「戸崎さん悪い子。」
弟「そこを引っ張るのよしましょうよ・・・」
俺「ちょっと羽田盃組と大井2000mで戦うとなると分が悪いかな、全体的なレベルを見てもそんな感じだね。」
弟「イヴアルブは?底を見せずに初重賞で3着だけど。」
俺「優先出走権取れなかったのはこの馬にとってイタイとこだねぇ。ただこのレベルでポコっと崩れずがんばれたのは
  見どころアリって見てもいいかも。キタサンオーゴンは相手なりって感じがしちゃうから、あえて大きくなると期待が
  持てるのはイヴアルブの方かもね。」


★今回は人気者デスヨ

俺「さて、新三大です。」
弟「やるんだね・・・」
俺「今回はねー、30~40代くらいのファンには待ってました!!と言われるくらいの人気者を題材にしてみよう
  じゃないの。」
弟「お!!人気者はいいじゃないですか!!」
俺「お前もこの馬の顔が好きって言ってたし。」
弟「顔?」
俺「この顔に見覚えあるだろう。」

タンホイザ君

弟「あー、この子は!!」
俺「このひねくれた流星がトレードマークの人気者、マチカネタンホイザ君です。」
弟「人気者だったんですか?」
俺「強かったんだぞ、マチカネと言えばどの馬ですか?って言われたら、当時を知っているファンはタンホイザ君を
  挙げるだろう。」
弟「ほぉ~、凄い馬だったんだ。」
俺「凄いメンバーが揃っていた古馬長距離路線を大いに賑わせた一頭さ。本当に人気者だったんだよ。」
弟「じゃあ凄かったレースの話とかしてくれるんだ。」

俺「俺がそんな話をするかと思うかね?」
弟「・・・」


俺「今回のテーマはコチラです。」


★日本人が知っておくべき、新・三大
『マチカネタンホイザの間の悪い発病』



弟「・・・なんだこれは。」
俺「無事これ名馬という言葉があるがな、タンホイザ君は病に勲章を奪われた悲運の名馬なんだ。」
弟「ああ、屈腱炎とかになっちゃうと復帰して思うように走れなくなっちゃったりしますもんね・・・」
俺「ちょっと違う。」
弟「へ?」
俺「どんな些細な病でも、やはり驚異なんだよな。健康が資本なんだよ。大事な時になんでこんなことに・・・って
  ならないようにしなければいけない。人類にそれを教えてくれたのはタンホイザ君だ。
弟「・・・なんか仰々しいんですけど。」
俺「とりあえずはタンホイザ君とはどんな子だったのか?そこから振り返っていきましょう。」


 まず有権者の皆様に訴えたいのが、この馬がマチカネタンホイザ

マチカネタンホイザ

 父は大種牡馬ノーザンテースト、いびつな流星と美しい栗毛、そしてマチカネ軍団らしいネーミングで人気を博した競走馬なのであります。



弟「かわいい♥」
俺「うん、かわいい子でしたね。」


 1991年デビュー組と言えばミホノブルボンにライスシャワーなどの歴史的名馬がクラシック戦線を賑わせ、上の世代にもまたトウカイテイオー、メジロマックイーンなどが居た正に長距離群雄割拠時代。荒波の様なこの世代の中に放たれたタンホイザ君は、そんな面々に負けず劣らずの活躍を見せるのであります。
 ダービーではミホノブルボンの逃げ、後の菊花賞馬となるライスシャワーに屈するも4着に健闘すると、ミホノブルボンvsライスシャワーのムードが漂う菊花賞ではライスシャワーの目の覚めるような差し切りに屈した二冠馬ミホノブルボンに襲いかかりあわや2着というトコロでブルボンが懸命な粘りを見せG1連対を逃すも、超一流の面々の中で堂々の内容の3着。古馬になっても成長が見込める大種牡馬の血統に、新たな新星の一頭として数えられる存在になったのであります。



弟「・・・なんか聞いたことある名前がいっぱい出てきた。」
俺「オグリキャップブームからの流れを組んだ時代にあって、現在の競馬ファンの多くが燃えた世代とも言えるだろう
  な。この時の競馬が一番面白かったと懐かしむ人も多い。ツインターボやナイスネイチャといった脇を固めるバイ
  プレーヤー達もアクが強い馬が多かったな。この時代の競走馬の個性が強くて、今の競馬では余程突拍子も
  ないコトしないとインパクトに残りづらくなっちゃった感じすらある。」
弟「へぇえ。」
俺「もう20年も前の話だからなー、俺はまだ赤ちゃんだった。
弟「バレバレの要らんウソをつくな。」


 年が明け古馬戦線に突入したタンホイザ君。初戦の金杯こそ落としてしまうものの、続くダイヤモンドSで名手岡部騎手を背に圧巻のパフォーマンスを見せつけます。相手関係こそ恵まれたとは言え57kgはメンバー中トップハンデを背負わされた稍重馬場の3200m戦。そんなレースを周囲とはモノが違うんだと言わんばかりの先行から堂々抜け出してのレコード圧勝!!残念ながらダイヤモンドSは東京3200mから3400mに変更となってしまい、現在ではこの距離のレースが存在しなくなってしまった為に記録として表示されなくなってしまいましたが、このタイムは未だにレコードとして輝き続けているのであります。
 そして続く目黒記念、菊花賞以来の顔合わせとなるライスシャワーとの対戦!!ハンデ差こそ1kg低くライスシャワーは有馬記念以来の休み明けだったとは言え相手は菊花賞馬。タンホイザ君にとって最大の敵がこのライスシャワーだったのです。しかし、使われてきた強みと勢いがタンホイザ君にはありました。前走同様に先行しほぼ同じ位置に宿敵ライスシャワー、
 そのライスシャワーを直線では突き放す力強い完勝!!
 G1馬何するものぞ、ライスシャワーもメジロマックイーンも撫で切ってみせようじゃないか!!そんな風な貫禄すら漂わせ、タンホイザ君は淀の大一番に駒を進めるのであります!!



弟「・・・凄いじゃん。」
俺「脇役の印象強いけどさ、この時の天皇賞ってマチカネタンホイザは打倒メジロマックイーンの一角だったんだぞ。」

1993天皇賞・春 単勝オッズ
マジロマックイーン 1.6倍 = 天皇賞春三連覇を目指してステップの大阪杯を圧勝して磐石
ライスシャワー 5.2倍 = 92年、二冠馬ミホノブルボンを倒し菊花賞馬に 
マチカネタンホイザ 8.6倍 = ダイヤモンドSをレコード勝利、目黒記念で菊花賞馬を倒した新星
メジロパーマー 9.8倍 = 92年有馬記念馬が阪神大賞典も制し同門王者への初勝利に望む
タケノベルベット 15.4倍 = 92年エリザベス女王杯馬 阪神大賞典でパーマーに迫る

弟「わあぁ・・・」
俺「上位5番人気中4頭が勢いを感じるG1ホースだ。」


 しかしG1の壁は厚かった!!果敢に飛ばすメジロパーマーの背後、スタミナ自慢のムッシュシェクルと先行馬キョウワハゴロモが追走するその直後に王者マックイーン。その更に直後を追走するマチカネタンホイザとライスシャワーの展開になります。勝負が動いたのは3~4コーナーにかけてのコーナリング。メジロパーマーを捕まえんと前に押し出すメジロマックイーンの外から、それをぴったりマークする黒い影がライスシャワー。このコーナーの時点でタンホイザ君は優勝争いから脱落してしまいます。結局最後の直線で抜け出したのは関東の刺客と後に呼ばれるライスシャワー。ミホノブルボンの三冠、そしてメジロマックイーンの天皇賞三連覇を阻んだ最強の悪役の誕生を9馬身先に見て、タンホイザ君は4着でこのレースを終えるのであります。


俺「俺さ、ミホノブルボン好きだったからライスシャワーが憎かった頃があったんだよ。でもこの時はスカッとしたのを
  よく覚えてる。メジロマックイーンの安定し過ぎた強さもまた悪役っぽかったんだよな。そんなマックイーンに勝った
  んだから、やっぱミホノブルボンは凄い馬だったってある意味証明してくれた様に思えてね。」
弟「タンホイザ君、それだけ離されても4着なんだ・・・」
俺「だからこの距離でこの当時、間違い無く上位の実力は持ってたんだよな。先頭からそれだけ離されても5着には
  更に5馬身付けてるんだから。」
弟「壁が厚すぎたねぇ~。」
俺「前走でライスシャワーを下していたけど本番でこれだけの差が付いてしまったらなぁ。」


 ここから先のタンホイザ君、宝塚に向かわず裏街道を走ります。府中のオープン特別メイSを圧倒的人気で快勝、当時京都2000m戦だった高松宮杯で4着、秋初戦も府中のオープン特別である当時2000mの富士Sで、ここでクビ差の辛勝という、春とは一風変わったローテーションで秋戦線に駒を進めます。
 得意な府中で迎えた大一番、ジャパンカップ。少々低調な面々とのレースをしてきたせいか、ここで全く見せ場を作れずブービー負けとなりますが、ここでのメンバーでのレースが着火剤となった次走有馬記念、一つ下の世代から登場した芦毛のステイヤービワハヤヒデと一年振りのレースとなった一年先輩のトウカイテイオーの、これまた歴史的な一戦の影で、彼はちゃっかり4着に入り実力を改めさせるのであります!!



弟「・・・こうして見ると、凄いレースで凄いとこ走ってたんですね。」
俺「ライスシャワーの菊花賞と天皇賞、そしてトウカイテイオーの有馬記念。どれも語り草になるレースだよな。
  凄い位置で見るギャラリーの様な子だったんだな。」
弟「そりゃ確かに人気者になってもおかしくないわ・・・」
俺「ちなみにこの有馬記念でナイスネイチャが三度目の3着。多くの人に『またお前か』と、歴史を超えて愛される
  キッカケになったレースでもあるんだよ。」
弟「盛りだくさんだなぁ。」


 年が明け、運命の6歳(現5歳)を迎えたタンホイザ君・・・


弟「ハイ待った。」
俺「・・・なんだよぉ。」
弟「このコーナーに於ける最大のバッドフレーズ『運命』が来たので。」
俺「だからって待ったかけるなよぉ。」

弟「イイ話なんだろぉな?」
俺「捉え方次第じゃね?」


弟「・・・」
俺「続けるよ。」


 年明け初戦のAJC杯。善戦マンが集う残念有馬記念の様相を呈したこのレースでタンホイザ君は再び貫禄を見せます。例によってツインターボが楽しそうにキャッキャと逃げ、隊列は縦長。その中団よりやや後方を進むタンホイザ君の末脚が唸りをあげます。先行したツインターボが例によってしぼんでいくも、さすがは中山コース、先行勢がしぶとく粘ります。そんな中を突き抜ける栗毛の馬体、タンホイザ君!!古豪フジヤマケンザンの先行をクビ差差し切り久方ぶりの重賞勝利を飾るのであります!!


弟「なんか楽しそうなレースですね。」
俺「出走メンバー見たら当時のファンがヨダレ垂らすね。」

マチカネタンホイザ、ナイスネイチャ、ツインターボ、ステージチャンプ、ホワイトストーン、シャコーグレイド、
フジヤマケンザン、ハシノケンシロウ等がいました


弟「うん、結構聞いたことある名前がいっぱいだ!!」
俺「G2らしいなぁ~♥こういうレース楽しいよなぁ~♥」
弟「・・・」


 しかし喜びも束の間、続く日経賞で一番人気に推されるもステージチャンプ、ライスシャワーの接戦に後塵を喫すると、昨年とは違う面々の中で望んだ天皇賞春で5着、京阪杯では2000m戦の流れでトップハンデが響いたかここでも格下相手に5着、宝塚記念では見せ場無く9着と精彩を欠く結果に。
 そう、タンホイザ君は遠征戦で強くてホームである関西戦で弱いという変な子だったのです。
 彼の得意とするのは府中の中距離以上のレース、ここまでの7勝の内6勝が左回りというサウスポー振りからもお解り頂ける通り、左回りならまた違うハズ。そんな陣営は秋初戦を毎日王冠に定め始動するのであります。中距離からマイルの個性的な面々が集ったこのレース、不慣れな展開を5着とすると続く天皇賞、
 自身5度目となるG1での4着!!
 まだ終わってはいない、むしろこれからだ!!距離が伸びればもっとやれるぞ!!そう思った方も多いでしょう、しかしここから先、タンホイザ君は健康面のトラブルに苛まれてしまうのです!!



弟「・・・」
俺「ここから先がね、スゲェもったいなかったって俺は思うんだ。」
弟「でもG1で4着が5回ってスゴイね。」
俺「しかも3歳(現2歳)からの積み重ねだぞ。」

※マチカネタンホイザのG1での4着
91年の朝日杯 92年のダービー 93年の天皇賞春と有馬記念 94年の天皇賞秋 

弟「そりゃ愛されるわ。」
俺「でもこの秋がなぁ~・・・競走馬として一番イイ感じに迎えたと思ってたのになぁ~・・・こう言ってしまってはアレ
  だけども、ライバルの離脱や不調も多かった時期なんだよね。ビワハヤヒデはこの天皇賞で屈腱炎を発症して
  引退、ライスシャワーは骨折中・・・戴冠のチャンスだったんだよ。」
弟「ふむ。不謹慎だけど確かにチャンスかもね。長距離も強いし。」


新・三大『マチカネタンホイザの間の悪い発病』①
1994年11月27日 第14回 ジャパンカップ
『何に興奮したんだ、タンホイザ君!!最大のチャンスを棒に振ったじゃないか!!』


 まず有権者の皆様に訴えたいのは、この年のジャパンカップはメンバーが地味だったということ。
 前走で府中ならやれる、距離が伸びれば中距離組よりも好戦できるという感触を確かにしたタンホイザ君。しかも長距離で圧倒的な力を持っていたビワハヤヒデがまさかの戦線離脱によりこの年のジャパンカップは完全に混戦ムードです!!千載一遇のチャンスとは正にこの事、ひょっとしてひょっとするかも・・・

 そう思ってしまったのでしょうか・・・

 初のG1制覇が国際G1なんて、俺ってなんてカッコイイんだ、そう思ってしまったのでしょうか・・・

 パドックを周回するタンホイザ君の様子が妙におかしなことになり、歩き方まで変になる始末。係員が近づいてきます、どうしたのだろう・・・そんな中、無情なアナウンスが場内に響きます。

「8番、マチカネタンホイザ号は
 
鼻出血の為、競走除外となります。」


 そう、あろうことかタンホイザ君は鼻血を流していたのです!!
 鼻血というと軽く見られがちです。実は競走馬にとって鼻出血は重大な疾患である可能性も高く笑えない事態ではあるのですが、とにかく一番大事な場面を直前に鼻血を出してしまったのです!!
 結局除外となってしまった為、パドックをぐるぐる回っただけで帰らされてしまったタンホイザ君。このレースを制したのはセン馬でイマイチ路線を歩み続けていたマーベラスクラウン。しかも三着には奇っ怪な成績を残す代表勝鞍むらさき賞のロイスアンドロイス・・・

 本当に出てりゃ勝てたんじゃねぇか!?

 そんな会場の憶測を後に、タンホイザ君は府中を去るのであります。この発病を、新三大『マチカネタンホイザの間の悪い発病』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「タ、タンホイザ君・・・」
俺「コレ、本当にもったいなかったよなぁ。」
弟「ちょ、ちょっと待ってよ・・・
  こんなのがあと二つあんの!?」
俺「次は有馬記念。」
弟「すぐじゃねーか!!!」



新・三大『マチカネタンホイザの間の悪い発病』②
1994年12月25日 第39回 有馬記念
『どうしてそうなったんだ、タンホイザ君!!またチャンスを棒に振ったじゃないか!!』


 まず有権者の皆様に訴えたいのは、タンホイザ君の鼻出血は大した症状ではなかったということ。その為か出走停止制限は適用されずに済み、この有馬記念に駒を進めることができたのです。
 しかし、この有馬記念は前回のジャパンカップとはまた様子が異なるメンバーになりました。

 圧倒的な力を持つ三冠馬、ナリタブライアンが登場するのです!!

 更にはほぼパーフェクトな成績の女傑ヒシアマゾン、復帰したライバルのライスシャワーらも顔を揃え、ジャパンカップの地味なムードとは一変し、正に競馬の祭典といった感じになるのです。
 しかしそれでも圧倒的と見られる存在はナリタブライアンのみ、ヒシアマゾンだって所詮は牝馬ではないか、ライスシャワーだって長期休養明けではないか、事前の予想はナリタブライアン以外は大混戦になるのであります。



弟「・・・ニューカマーも凄いですね。」
俺「でもこの時の二番人気ってネーハイシーザーなんだよ、秋の天皇賞馬な。」
弟「まぁ、その時の古馬戦で強い成績を挙げた馬ってコトですよね。」
俺「タンホイザ君だって鼻血の影響無けりゃやれる!!って感じではあったんだよな、ここも。ブライアン崩すのは
  難しいかもしんないけどさ、2着はあるんじゃねーの?って思わせるメンバーではあった。」
弟「でも、出れなくなるんでしょ・・・?」
俺「うん・・・」


 立て直しとなる一戦に闘士を燃やすタンホイザ君。あわよくば勝ててもおかしくない、そんな意識もあったことでしょう。しかし鼻出血明けとなると体調が心配です。しかしタンホイザ君、体調はすこぶる好調と新聞記事に状態が踊るように書かれています。うん、今回は大丈夫だ!!カイバをモリモリ食べてしっかり調教をされて有馬記念に出てくるでしょう!!

 世間はクリスマスに浮かれる中、有馬記念の出走表には信じられない文字が書かれていました・・


 マチカネタンホイザ=疾病の為、出走取消

弟「何があった・・・」
俺「ビックリだよ本当にもう・・・G1で二度連続こんなことする馬は居ないぞ!?一ヶ月だぞ、一ヶ月!!」
弟「何でだ・・・」

 タンホイザ君が出走取消になった理由は、あまりにも唐突な疾病でした。
 蕁麻疹(じんましん)・・・
 しかもこの蕁麻疹が起きた理由がヒドい!!風説の域を未だ脱していませんが、この様な噂が既に常識化されてしまい『何やってんだよタンホイザ君!!』と競馬ファンからの総ツッコミを喰らうコトになってしまうのです!!

 なんとタンホイザ君は、飼い葉と一緒に、中に入っていた毒グモをモリモリ食べてしまったらしいのです!!

弟「ヒデェ理由だ・・・」
俺「いやー、こわいね。クリスマスだよ?
  サンタさんって本当にコワイわぁ~。」
弟「プレゼントじゃありませんよ、絶対!!」


 連続でG1レースの出走を除外、取消という形で競馬ファンの脳裏に『ただの善戦マンじゃねぇ・・・この馬、持ってやがる・・・!!』という強いインパクトを残し、1994年という年をタンホイザ君は締めくくったのでした。この発病を、新三大『マチカネタンホイザの間の悪い発病』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「持ってますね、間違い無く持ってます。愛されて当然です。」
俺「カワイイだろぉ~。」
弟「でも・・・」
俺「でも?」

弟「まだあんの!?」
俺「AJC杯・・・」
弟「すぐじゃねーか!!!」



新・三大『マチカネタンホイザの間の悪い発病』③
1995年1月22日 第36回 AJC杯
『狙ってるだろ、タンホイザ君!!そしてその次走で彼は伝説となった!!



 まず有権者の皆様に訴えたいのは、鼻血を出そうが蕁麻疹が出ようが脂の乗ったタンホイザ君の回復力は凄まじく、全くのノーダメージだったということ。
 正に昨年以上の残念有馬記念となったタンホイザ君、二つのG1を棒に振ってしまった後悔はココにぶつけてやる!!AJCに早々と照準を切り替えたタンホイザ君、もう昨年末のコトは忘れよう・・・まだ走れる、一番イイ時期は逃してしまったかもしれないが、これからがあるじゃないか!!まずはという気持ちでAJC連覇だ!!


 なんて言ってたらフレグモーネ発症!!

弟「タンホイザ・・・君?」
俺「凄いだろ。三連続だ。」
弟「しかも全部理由が違う・・・」
俺「なんかさ、こういう言い方は失礼かもしれないけどさ、
  フレグモーネが凄い重病に思えるよね。」
弟「鼻血→蕁麻疹→フレグモーネ・・・」
俺「フレグモーネもナメちゃいけないんだけどさ、傷が化膿しちゃうことなんだから。」
弟「そうですね。」
俺「でもさ、普通これだけ病気続いちゃった馬がだよ?次のレースで今度こそは!!なんて言って勝てると思う?」
弟「うーん・・・予想の上では切りたくもなりますよねぇ。」
俺「だよね。」

 まさかの疾病三連発、最早何かに取り憑かれているのではないかとすら思えるタンホイザ君。年末年始を病気で終えてしまった彼の復帰は、結局夏までもつれ込んでしまいます。結局のところ前走実際に走ったのは秋の天皇賞ということになり、休養期間と見たら約9ヶ月、そこで彼は周囲の想像を超えたレースを見せるのです。

1995年7月9日 第25回 高松宮杯

 前年の有馬記念でナリタブライアンの2着と健闘した女傑ヒシアマゾンが注目を集め、単勝1.5倍という圧倒的一番人気に支持される中、久々にターフに姿を現したタンホイザ君。馬体重は-14kg、これは絞込みなのか筋肉が落ちてしまったのか、しかもハンデは58kgのトップハンデ。それでも彼は多くのファンの支持を集め、宝塚記念4着のトーヨーリファールや天皇賞秋2着以来の出走ではあるものの輝かしい実績を誇るセキテイリュウオーらを上回る3番人気を背負うことになるのです。
 
 ・・・このレースは実際に見て頂くのが一番良いでしょう。
 ご清聴ありがとうございました。




弟「勝っちゃった・・・」
俺「このレースに関してはねー、タンホイザ君が勝ったって言うよりも、ヒシアマゾンがダイナミックに自爆した
  レースだって印象が強い人が多いかもね。でもね、アイルトンシンボリが3着なんだよ。」
弟「アイルトンシンボリ・・・?」
俺「ああ、お前にゃ解らんよな。この時期一番ノリノリだった善戦マシーンでな、ナリタブライアンの有馬記念では
  4着だったし、宝塚記念では5着、前年の宝塚記念なんか2着だったんだぞ。」
弟「うおおお、つええじゃないか。」
俺「当然ヒシアマゾンとアイルトンシンボリが人気集めてたんだけどさ、アイルトンシンボリってどんなレースでも
  相手なりってトコがあって頭にはし辛いけど切れない馬だったのよ。で、ヒシアマゾンはこの高松宮杯までは
  連対率100%だったんだけど暴走しちゃったんだな。」
弟「ふぇえ・・・」
俺「でもね、9ヶ月の間隔明けて勝てると思えるメンツじゃないわけ。」
弟「なるほど。」
俺「どう思う?」
弟「どうって?」

俺「鼻血と蕁麻疹、凄くもったいないだろ?」
弟「そう持ってくるか・・・」


俺「タンホイザ君はこの後は未勝利で終わってしまうんだが、完全に旬を逃している感じするだろ!?」
弟「確かにそうですね、これだけ病気連発して長期戦線離脱して勝ってるとなると。」
俺「もうねー、この馬のファンにねー、
  アレが無きゃジャパンカップと有馬記念はこの馬だった
  って心から思わせたのが、この高松宮杯なのさ。」
弟「言い過ぎだ・・・」
俺「いや、蕁麻疹出てなきゃブライアンを脅かしてたね!!」
弟「でもこんなに強い子だとは思ってなかったな。凄いね。」
俺「実はタンホイザ君は大種牡馬ノーザンテーストの産駒の中で、一番競走賞金を稼いだ子なんだ。」
弟「それが一番凄さを感じてしまう・・・」
俺「残念ながら産駒には恵まれなかったけど、今も多くのファンに愛され続けて余生を送ってるんだよ。」
弟「余生は健康に過ごせてるんだ、良かった!!」
俺「あの時は仮病だったんじゃねぇかってくらい元気らしい。」
弟「何よりですよ。」



※ご清聴ありがとうございました



まぁ、とりあえずクリックすると喜びます

[ 2013/05/09 02:18 ] 新三大ごっこ | TB(0) | CM(16)

名バイプレイヤーで新三大~第二回~

マリーンカップ 結果
1着 メーデイア →俺☆弟子◎
2着 レッドクラウディア →俺○弟子▲
3着 スティールパス →俺◎弟子▲

俺「取れてねぇっていう。」
弟子「オーシャンフリートぉぉ・・・」
俺「メーデイア強いな、馬場状態もマークも左回りも関係なし。」
弟「レッドクラウディア頑張ったけども、メーデイアとの差ができちゃったね・・・」
俺「そうだなー、不良ダートのマイル戦でこの決着だと巻き返ししんどいな。力関係ちょっと疑って見てたけど、今回
  頭一個抜け出た感じ。」
弟「・・・なんでハズしてウレシそうなのよ。」
俺「んん~?んふふ~♥」

5着 トウホクビジン

俺「ビジンちゃん重賞掲示板オメデトー!!」
弟「おおおおお!!!!!」


俺「インディじゃなくてビジンちゃんが飛んできたよ!!4月初戦で新年度好発進だよ!!」
弟「おおおオーシャンフリートとエミーズパラダイスに勝ったぁぁ!!」
俺「ちなみに今回で116戦目です。」
弟「頑張ったなぁ~!!」
俺「今回の5着は大仕事だね、賞金が105万も出る。時たま掲示板に突っ込んでくる時はあったけど、ここでまさか
  メンバー中最速の上がりで突っ込んでくるとはね!!こういう馬場が好きなのかも。」
弟「さすがは歴戦のビジンちゃんですね。」
俺「無理せず頑張ってほしいねー。」
弟「そうですねー。」

俺「どうも連闘クサいけども。」
弟「休ませたげてよぉ!!!」




★評判良かったので

俺「前にやった新三大ごっこ。あれがねぇ、非常に評判良くてねぇ。」
弟「・・・イブキタモンヤグラの話でしょ。無茶苦茶ですよ、アレは。」
俺「まぁかなりメルヘンでしたけども。」

名バイプレイヤーで新三大~第一回~ イブキタモンヤグラ編

弟「ダメですよ、一生懸命走ってる子を淫獣呼ばわりしちゃ。」
俺「う~ん、そうかもしれんなぁ。」
弟「イイ形でスポットライトを当ててあげないと可哀想じゃん。」
俺「そうだな。ちゃんとした目線で見てあげなさいよ!!って思える馬が一頭おりまして。今回はその馬を題材に
  新三大をやっていこうと思いますよ。」
弟「ほー。認められるべきなのに認められない子かぁ。それはイイかも。」
俺「じゃあ早速始めましょう。」

★日本人が知っておくべき、新・三大
『メイショウオウドウがメイショウドトウの
登場でニセモノ扱いされた問題のレース』


弟「・・・」
俺「えーとですね・・・」
弟「もうやめたげようよ。」
俺「ええ!?せっかく議題として拾ってきたのに!!」
弟「もうタイトルで既にオウドウさんが可哀想じゃないか・・・」
俺「ああ、そうだよ。可哀想なんだよ、だからみんなちゃんとオウドウさんを見てやれよ!!って気持ちをここで
  訴えないと!!」
弟「ホントにそうなるの?」
俺「そうしなきゃダメだろ。」
弟「・・・ちゃんとやって下さいよ。」

 まず有権者の皆様に訴えたいのが、この馬がメイショウオウドウ。

オウドウさん


 古馬中距離路線を賑わせたサンデーサイレンス産駒なのであります。
 4歳(現3歳)のクラシックには間に合わないながらも中距離で安定した成績を挙げて重賞でも好戦。5歳で初挑戦となったG1レース、天皇賞秋では力の壁に当たり惨敗するも人気は6番人気とし、まだまだこれからの伸びしろを期待されていた逸材だったというのがお解り頂けると思います。


弟「ねぇ。」
俺「なんでしょう?」

弟「もうやめたげようよ。」
俺「なんでだってば!?」


弟「この後にドトウ君が出てくるんでしょ?イヤな予感しかしないもん・・・」
俺「そりゃねぇ、この後にメイショウドトウが登場して大躍進するけどもなぁ、先に活躍してたのはオウドウさん
  なんだぞ?年齢も一つ先輩なんだ。」
弟「要するに抜かされちゃうんでしょぉ!?」
俺「・・・うん。あ、いや!!でもだなぁ、オウドウだってちゃんと活躍するんだよ!!伝えたいのはソコ!!」
弟「悲しい話にはならないんだね?」
俺「・・・」
弟「返事しろよぉ!!」



新・三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場で
ニセモノ扱いされた問題のレース』 ①

2000年5月27日 第36回 金鯱賞
~「オウドウ先輩、まぎらわしいッスヨ!!」ドトウとの悲劇の初対決!!~

 まず有権者の皆様に訴えたいのが、年が明けて2000年を迎えて6歳になったメイショウオウドウは絶好調だったということ。初戦の金杯こそ負けてしまうものの、二戦目となった大阪城ステークスを接戦で制すと勢いをそのままにG2大阪杯に挑戦。そしてこのレースを鮮やかに差し切り!!重賞での好戦は何度もあったものの、これが初めての重賞勝利。そして自身初の連勝。今年は昨年とは違う、本格化が訪れたのだ!!誰しもがメイショウオウドウに向けて熱視線を送るのであります。
 そして、三連勝を掛けて望んだ一戦、金鯱賞。そこでとうとうアイツと対峙することになるのです!!

 そう!!一年下の、後輩のドトウです!!


弟「・・・後輩のドトウって言い方、なんとかなりませんか?」
俺「悪い後輩っぽくてイイだろ。」
弟「でもオウドウさんも大阪杯馬だったんだね。それ知らなかった。」
俺「メイショウドトウが活躍した世代と言えば、古馬路線はどんな馬達が賑わせてたかすぐ解るね。テイエムオペラ
  オーやナリタトップロード、アグネスデジタルなんかが走ってた時代さ。この時期は今挙げた面々での決着が
  多すぎてね、特にG1がオペラオーとドトウの決着だらけになってしまい、バイプレイヤー達の影が極端に薄くなって
  しまった時期でもあるんだよ。」
弟「なるほどね。」
俺「この時期の馬で影が濃い脇役って言えばラスカルスズカかな。この馬も結局重賞タイトル得られなかったけど。
  メイショウオウドウはドトウやオペラオーの一つ上の世代。スペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイ
  ロー
の三強時代ね。でもオウドウ自身は春のクラシックに間に合わなかった上に神戸新聞杯後に故障、約一年
  のブランクを経て復帰したが、ここで能力の高さを証明するんだな。」
弟「へぇえ、長期休養を挟んでの復活だったんですね。」
俺「オウドウ先輩のファンならもう、休養明け三戦目の毎日王冠なんて語り草だよ。
  あのグラスワンダーにハナ差まで迫る末脚!!」
弟「グラスワンダーと好勝負したの!?」
俺「ああ、だから次走の天皇賞で6番人気と高評価を得るんだけどね。まぁここは残念ながら大敗。」
弟「でも立派に一級線の活躍ですよね。」
俺「そうなんだよ。いい馬だったんだよ。」
弟「・・・過去形にしないでくれませんか、始まったばかりで。」


 後輩のドトウもまた2000年に入り急成長を始めた一頭。重賞初挑戦となる日経新春杯で2着となると、続く中京記念を横綱相撲で圧勝。更に日経賞を狙いここで3着とし、この金鯱賞に駒を進めてきたのです。
 しかしこのメイショウ二頭の前に立ちはだかったのは、春の天皇賞で2着になったラスカルスズカ。上がり馬何するものぞと言わんばかりの単勝1.3倍という断然の一番人気。そして離されたもののオウドウ先輩が続く二番人気、後輩のドトウが三番人気という形で戦いの火蓋は切って落とされたのであります!!

 まずスタートしてハナを奪ったのはとりあえず前にいかないと何も始まらないサイレントハンター、この馬がぐいぐいと後続を突き放す大逃げで会場を沸かせます。圧倒的一番人気のラスカルスズカと後輩のドトウは二番手集団、オウドウ先輩はじっくりと後方で虎視眈々。そんな中向こう正面でじわりじわりとポジションを上げる後輩のドトウ。

 「ふふ、若いな」

 そんな感じで前方のやりとりを睨むオウドウ先輩。コーナーを曲がりながら徐々に逃げるサイレントハンターとの差を縮め、馬群は最後の直線へと向かうのです。
 直線に入ると抜群の手応えで先頭のサイレントハンターを飲み込むメイショウの勝負服!!二番手を追走していたジョービッグバンもしぶとく粘り込みを計りますが太刀打ちできません!!圧倒的一番人気のラスカルスズカも中団から脚を伸ばしますが・・・脚色が違う!!力強く抜け出したメイショウの勝負服に成す術もなく他の馬達は敗北を喫したのであります!!

オウドウ強いな・・・」
「・・・ドトウじゃね?」
「へ?どっちだよ?」
名前が紛らわしいな・・・どっちだよ?」

 そう、この時圧勝したのはお解りの通り後輩のドトウ。しかし、実況を聞いていながらも観客の脳裏には二番人気であったオウドウ先輩の影がちらついていたのであります。
 
 人気も近く勝負服も同じで名前も似ていたから!!

 じっくり後方待機していたオウドウ先輩はと言うと、この前の二連勝がまるでウソだったかの様な不発。そしてここから先の後輩のドトウの大躍進により、オウドウ先輩は、後輩のドトウと紛らわしい存在というレッテルを貼られてしまうのであります。このレースを、新三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場でニセモノ扱いされた問題のレース』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「もうやめたげようよ!!」
俺「可哀想だよな、ここからもっと可哀想なんだ・・・これが始まりだったんだよ・・・
弟「もうやだ!!聞きたくないよ!!」
俺「メイショウドトウがこれから先、テイエムオペラオーの好敵手になることは周知の事実だよな。じゃあここから先の
  オウドウ先輩の走りは?と言うと記憶に残ってる人はそんなに居ないだろう。」
弟「それが可哀想な内容ってコトなんでしょ!?」
俺「まぁ確かに、中長距離G1路線には、ここから先必ずと言っていいほどオペラオーとドトウが顔を出してくる。そして
  オウドウもその中に居た。こう言ってしまうと残念な結果がもう目に見えてしまうだろう。」
弟「ほら!!」
俺「でもオウドウ先輩だって頑張ってたんだぞ。」
弟「頑張ったのはわかった!!比較対象が後輩のドトウになってしまったのもわかった!!
  これ以上オウドウ先輩をネタにしないであげて!!」


新・三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場で
ニセモノ扱いされた問題のレース』 ②

2000年12月24日 第45回 有馬記念
~卑劣なり、後輩のドトウ!!大一番で実況を弄ぶ!!~

 まず有権者の皆様に訴えたいのは、この金鯱賞から後輩のドトウがその名の通り怒涛の大躍進を果たすということ。初のG1挑戦となった宝塚記念、超一級の顔ぶれの中で持ち前の先行力としぶとさを武器に、数々のG1を勝ちまくってきたテイエムオペラオーと真っ向勝負。破れはしたものの堂々の2着。
 対するオウドウ先輩はというと、同じく宝塚記念に出走するものの、金鯱賞と同じように後方からの差し切りを狙うも不発に終わり7着。完全に後輩のドトウに逆転されてしまうのであります。


 秋に入ってからも後輩のドトウとオペラオーは主役のまま。天皇賞で再びあいまみえた両者、やはり持ち前の先行力としぶとさを武器に果敢に真っ向勝負を挑む後輩のドトウ、先団やや後ろから直線に賭けるオペラオー。そのオペラオーとほぼ同じ位置に我らがオウドウ先輩!!いつもよりやや前でレースを進めいざ直線!!

 あっという間に置き去りにされるオウドウ先輩!!

 直線を押し切ろうとする後輩のドトウを颯爽と差し切り、この天皇賞はテイエムオペラオーの快勝。しかし後輩のドトウも後続の追撃を振り切りまたも2着。
 オウドウ先輩はここでも大敗を喫してしまい、最早、後輩のドトウとは紛らわしくない存在にまでなってしまったのです。



弟「もうやだ!!やめよう、この話!!」
俺「君は優しい子だなぁ。」
弟「だってオウドウ先輩が可哀想ってのを通り越して、
  なんだか後輩のドトウにムカついてきちゃったんだもん!!」
俺「いやお前ねぇ、ドトウだってオペラオーの後ろを走ってる馬ってレッテルを貼られるコトになるんだから。」
弟「そりゃ解るけども・・・」
俺「ドトウだって可哀想な馬なんだぞ。オペラオーさえ居なければと何度言われたことか。最終的に宝塚記念で一矢
  報いるコトができるまでは、彼だって悲劇の馬だったんだ。」
弟「でもドトウはその一度の勝利でドラマを作ることができたじゃない。オウドウはどうなの?この話はハッピーエンド
  で終わるの?」

俺「・・・」
弟「もうやめたげてよぉぉぉ!!!」


 
 しかしオウドウ先輩も実力者!!続いて選択したレースはマイルチャンピオンシップ。ここのところ見せ場が無かったオウドウ先輩、12番人気と低迷してしまいます。
 そんな周囲の評価など関係ない!!ここには忌々しい後輩のドトウも強すぎるオペラオーも居ないではないか!!そう言わんとばかりにオウドウ先輩の末脚が久々に火を噴くのです。最後方からインを突いての強気の強襲!!外を回ったアグネスデジタルの鬼脚、早めに仕掛けた一番人気ダイタクリーヴァのしぶとさには屈したものの、


 G1の舞台で堂々の3着を手にするのであります!!


弟「おおおお!!すげぇ!!!!!」
俺「凄いんだってば。弱い馬じゃないんだよ。」
弟「・・・ここで終わっとこう。ね。」
俺「続けます。」


 そして迎えた年末の大一番、有馬記念。オウドウ先輩、マイル戦から初の長距離2500mへの挑戦です。そして当たり前の様に横綱テイエムオペラオー、そしてそのライバルの地位を不動のものとした後輩のドトウの姿があるのであります。当然マイルG1で3着になったとはいえ、オウドウ先輩はここでも低人気。そして春先までは自分よりも人気の低かった後輩のドトウはオペラオーに次ぐ2番人気。名前こそ紛らわしいものの、もう存在感は紛らわしくありません。格もさることながら、後輩のドトウの武器は先行力としぶとさであり、オウドウ先輩の武器は後方からの末脚なのだから、つけるポジションが違うのです。

 しかし、この大一番で後輩のドトウがイタズラをするのです!!
 まさかの後方ポジション!!
 
 真横にはなんとオウドウ先輩、「な、なんでココに居るの!?」と困惑する先輩をよそにニヤニヤとレースをする後輩のドトウ、その結果こんなとんでもないことが起きてしまうのです!!


その時の有馬記念がコチラです


 実況解説がゴール前までオウドウ先輩と後輩のドトウを勘違いし続けてしまったのです!!

 「おいお~い、あんな先輩と一緒にしないでくれヨ~♪」とニヤニヤしながらオペラオーを追い詰める後輩のドトウ。このイタズラが無ければ恐らくここでオペラオーに勝てていたでしょう。そしてこんな辱めを受け逆上するも、オウドウ先輩と後輩のドトウとの能力差は歴然。ヒャッヒャと笑いながら前に進んでいく後輩を追いかけられず、8着に敗れてしまったのです。このレースを、新三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場でニセモノ扱いされた問題のレース』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「・・・」
俺「ヒドイ奴だな、後輩のドトウは。」
弟「アンタが悪者にしてるんだろーが!!」

俺「ここでやっぱりドトウとオウドウは紛らわしいなぁと再認識させられたんだよな。」
弟「このドトウのキャラは完全に作りでしょうが・・・」
俺「でもね~、やっぱ比較されてたのは事実なんだよなぁ~。」


新・三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場で
ニセモノ扱いされた問題のレース』 ③

2001年12月9日 第54回 鳴尾記念
~俺はオウドウだ、ドトウじゃない!!勝利を疑われたオウドウ先輩!!~

 まず有権者の皆様に訴えたいのは、オウドウ先輩は末脚自慢の差し追い込みタイプだったということ。ここまでのレース振りを聞いて頂いてお解りの通り、オウドウ先輩は後方からの鋭い末脚が武器。後輩のドトウの武器は先行力としぶとさ、全く逆なのであります。
 屈辱の有馬記念以降、再び中距離、マイル路線に戻ったオウドウ先輩。自慢の末脚を武器に重賞で好戦!!忌々しい後輩のドトウの居ない舞台、思う存分実力を発揮。中山記念で4着、マイラーズカップで2着、そして・・・

 G1安田記念、最後方からの鋭い追い込みで3着!!

 オウドウ先輩ここに有りを猛烈にアピールするのであります!!



弟「何気に凄い成績ですね、オウドウ先輩。」
俺「何度も言ってるだろーが、名馬だぞ。オウドウ先輩は。」
弟「でも勝つところまで行けないんだなぁ・・・その辺がちょっとドトウっぽいかも。」
俺「あぁ~、ぽい言っちゃったぁ。ヒデェ奴だなお前は。
弟「なんで!?」


 しかし、どうしても勝ちきれないオウドウ先輩。しかも秋になると春の末脚が息を潜めてしまいます。三度目となった秋の天皇賞では自己最高の6着に健闘するもやはり後輩のドトウには先着できず、昨年3着になったマイルCSでは後方ポジションのまま全く伸びず14着大敗。もうオウドウ先輩は勝てないのか・・・誰もがそう思った中、マイルCSの後に選ばれた競走はG3の鳴尾記念、阪神2000m。
 そう、昨年に大阪城Sと大阪杯を連勝した得意舞台!!
 再度の勝利を信じ、このレースに挑むのであります。

 このレースにはマイル路線の強豪ダイタクリーヴァ、デビュー4連勝を飾り、故障明けからの調子が上向きな4歳馬アグネスゴールドなど、なかなかの強豪揃い。簡単に勝てるメンバーではありません。このメンバーのなかでオウドウ先輩は13頭中6番人気、疑問と期待が入り混じる人気を背に、運命のスタートを迎えるのであります。そして・・・


 まさかの逃げを打つのであります!!

弟「・・・マジ?」
俺「生涯初の逃げ。」


 まさかの展開にどよめく場内。後輩のドトウならまだしもオウドウ先輩が逃げるとは誰も思っておらず、いわば奇襲と言ってもいい状態。あるいは引っかかってしまったのを無理に抑えなかったのか、とにかくオウドウ先輩は軽快に先頭を駆けていくのです。
 しかしこの戦法、誰も上手くいくとなんて当然思っておりませんでした。後輩のドトウならまだしもオウドウ先輩は追い込みタイプ。真逆の戦法がいきなり簡単にハマるわけがない。1000m通過は60秒9、まずまずの流れではあるが直線に入り普段の様に伸びるワケがない。
 そんな周囲の思惑を他所にオウドウ先輩は1000m過ぎからラップを上げていきます。直後にはタマモヒビキとアグネスゴールド、ダイタクリーヴァ。2番手集団の牽制をよそに直線を先頭で迎えるのであります。
 決して大きなリードではない物の単騎という形でしぶとく先行するオウドウ先輩、追いすがるダイタクリーヴァとアグネスゴールド!!なんとも息詰まる展開です!!徐々に徐々にと差が詰まるものの、必死に先頭を死守する先輩!!そして・・・


 ダイタクリーヴァの追撃をクビ差凌ぎ、同じ地で制した大阪杯以来の勝利を手にするのであります!!

 しかし、会場からはヒソヒソとこんな声が!!

「あれ・・・ドトウじゃね?」
「先行逃げ切りって・・・あれドトウじゃね?」
「オウドウじゃなくてドトウじゃね?」
「オウドウ逃げ切りっておかしくね?ドトウじゃね?」
「新聞間違ってね?」


 らしくない勝ち方から疑問の声が上がってしまったのです!!
 意表を突いた久々の勝利も、後輩のドトウの印象に汚されてしまったオウドウ先輩。しかし、このレースを勝利したのは間違い無くメイショウオウドウであり、決してメイショウドトウではないのです。このレースを、新三大『メイショウオウドウがメイショウドトウの登場でニセモノ扱いされた問題のレース』の一つとさせて頂きます。
 ご清聴、ありがとうございました。



弟「オウドウ先輩ぃぃ!!!」
俺「まぁ意外ではあったんだよな~、メイショウオウドウの逃げってのは。」
弟「ひどいよぉ、後輩のドトウのニセモノみたいにされちゃうなんてぇ!!」
俺「お前も普通に後輩のドトウって言う様になってるんだけど・・・」
弟「復活劇ってモノは美談じゃなきゃ。疑いの目で見ちゃダメですよ!!」
俺「ムキになるなよ、当然『ドトウじゃね?』って言葉はジョークだよ。そりゃ名前が似てて勝負服が一緒で勘違い
  されやすい馬ではあったけどさ、顔が全然違うんだから。そういうこと言える人はもちろんジョークで言える程に
  詳しいし、決してけなしてるワケでもなかったんだよ。」
弟「どゆこと?」

俺「オウドウもドトウみたいにやるじゃねぇか、ってコトだよ。」
弟「なら良し!!」

俺「簡単だな~、お前・・・」
弟「で、オウドウ先輩はその先どうなったの?」
俺「次の有馬記念でラストランになるんだ。ここにもドトウ、オペラオーは居たんだけど一世一代の逃げは鳴尾記念で
  封印、とは言っても先行に出るんだけどね。でも無双を誇ったオペラオー、その宿敵だった後輩のドトウ共に世代
  交代の波に飲まれ4,5着に敗れる。勝者はマンハッタンカフェだ。結局オウドウ先輩も8着に敗れたんだけど、思い
  返せばドトウとの着差が一番小さかったのがこのレースなんじゃないかなぁ。」
弟「一回くらいドトウに勝ちたかったね・・・」
俺「でも種牡馬としてはオウドウ先輩頑張ってるんだよ。オーシャンSで爆穴あけたベイリングボーイ、準オープンの
  脱出が見えるデンコウジュピターとか。結構堅実に走る子が多い様に見えるね、サンデー産駒としては手頃だ
  ろうし、少ない産駒の中から面白い子が登場するかもよ。」
弟「種牡馬になれたんだ、良かった!!」

俺「でもね、多分『このメイショウオウドウって種牡馬知らないなぁ、知ってます?』って競馬場のオジサンに
  質問するとね、3割ぐらいの確率で
  『懐かしいなぁ、オペラオーの2着に何度もなってた馬だよ』
  って返ってくると思う。」
弟「オウドウ先輩いいぃぃぃぃぃ!!!!!」



※ご清聴ありがとうございました

まぁ、とりあえずクリックすると喜びます

[ 2013/04/04 02:28 ] 新三大ごっこ | TB(0) | CM(9)

名バイプレイヤーで新三大~第一回~

弟子「何で懲りないんだよ!?」
俺「・・・」

桜花賞 結果
1着 イチリュウ
2着 アステールネオ
3着 カイカヨソウ
4着 ケンブリッジナイス

俺予想
◎カイカヨソウ
◎ケンブリッジナイス
▲イチリュウ
▲アステールネオ

三連単◎1,2着→▲3着 馬連◎同士
 ←ダイナミック縦目

弟「もう師匠ね、4頭選んで馬連ボックス買いなさい。
俺「えええ・・・だってさぁ・・・カイカヨソウが連外すとはさぁ・・・」
弟「確かにそうだけども!!ここ何戦か1,2着選べてるのに馬券取れてないって怪現象が起きてんだよ!?今回に
  至っては1~4着が選べてるのに何も取れてない!!タテ目喰らうにしてもヒド過ぎですよ!!」
俺「どっちも三着って踏んでたんだからさぁ・・・」
弟「逃してる馬券を考えてよ!!高配当なんだよ!!
俺「ファルコンSで80倍、ここで50倍の馬連を逃したね・・・でも君だってカイカヨソウが来るって信じてたでしょ。」
弟「ええ信じてましたとも!!でも師匠は自分で絶対的存在ではないと言い切っていたでしょーが!!それでも
  連は外さないとして判断しちゃったんでしょ!?矛盾じゃん!!
俺「そもそも絶対は無いんだってば!!」
弟「もう次当てるまで三連単狙うな!!」
俺「ええええええ!?」
弟「師匠は誰がどう見ても穴馬連タイプなんですよ!!三連単に回す出費を馬連に回せば、今日はともかくファルコン
  とスプリングは取れてたんだから!!」
俺「まぁそうだけどさぁ・・・」
弟「馬連で!!いいですね!?」
俺「わかったよぅ・・・」
弟「しかし内容としてはねぇ・・・カイカヨソウ、どう見ます?」
俺「どう見るも何も、今のトコロはこういう負け方してもおかしくないレベルだったって話だよ。単勝1.1倍になる
  馬じゃないって。でもまぁ力負けっていうよりは騎手の老練さが出たっていう感じかな。浦和は直線が短い、
  4コーナーであれだけ差ができては、カイカヨソウの脚で交わすことはできないよ。」
弟「的場騎手凄いなぁ、石崎パパも食らいついていきましたねぇ。」
俺「春が来たねぇ。」
弟「季節の変わり目を的場騎手で判断するの、ヤメてくれ
  ませんか!?」



★リクエストもらいまして

俺「こないだローエングリンの話をした時にそこそこ評判が良く、『なんか他の馬の話もして』ってリクエストなんか
  もらっちゃいまして。」
弟子「いいじゃん!!そういう話は結構スキです。」
俺「そういう話をしてもランキング伸びねぇんだよなぁ。」
弟「考えが汚ぇよ・・・」
俺「まぁランキング順位も若干どうでもよくなってるトコがあるけども。気にし過ぎるとスゲェ浅ましくなるんだよな。」
弟「それはあるね。」
俺「まーでもね、俺自身が印象に残ってる馬の話するのは好きですから。たまにはそういう話をしていくのもイイかも
  しんないね。せっかくリクエストももらったんだし。」
弟「そうだよ、そういう話が面白いんだよ。」
俺「ただし、だぞ。」
弟「?」

俺「誰でも知ってる馬の話を、俺がすると思うなよ!!」
弟「うわぁあぁあぁ・・・」

俺「メジャーホースのイイ話なんかさ、コラムニストの方々が沢山書いてるんだよ!!もう存在してるんだよ!!」
弟「まぁ確かにそうかもしんないけどさぁ、誰の脳裏にもこびりついてない子の話をしても、読者さんの頭上に
  『?』マークが浮かんでオワリですよ!?」
俺「いいじゃないか、アバンギャルドだろ!?」
弟「マイナーな方がカッコイイと思ったら大間違いだぞ!!」
俺「おお、いいツッコミじゃないか。確かにそれはある。」
弟「人が知らないコトを知っているのはいいことかもしれない。でも、どうでもいいことで自慢しても周囲は引くだけ
  なんだぞ!!」
俺「何も、誰も知らない様な馬を紹介して、俺こんな馬知ってるんだぜ?スゲェだろ!!なーんて言うつもりは
  無いよ。多分世代さえ合えばああ居たなぁ、そんな馬って思えるレベルが丁度いいだろうな。知らない人は
  何だか面白いなって思ってくれれば幸い。」
弟「せめて重賞勝ってる様な馬の話をしてね。」

俺「・・・重賞勝ってねぇな、コイツ。」
弟「うん、やめよう。」

俺「そうだなー。せっかくだからさ、コレも過去に結構人気あった記事なんだけど怒り新党の話をしたじゃない。
  ブロードアピールの時のヤツで、ここで新しい競馬の新三大考えてみようってハナシ。」
弟「あったね。」
俺「新三大パクりながらやってみるわ。」
弟「余計危ないわ!!」
俺「俺、夏目ちゃんとナレーションね。君はリアクションする側。」
弟「そこまで言うからには、面白くやれる自信あるんだろうな?」
俺「やってみなくちゃわからん。」
弟「・・・いいよ、そこまで言うならその『新三大ごっこ』、やってやろうじゃないの。」
俺「よし、がんばる。」


★日本人が知っておくべき、新・三大
『イブキタモンヤグラ』のセクハラ競走



弟「そんな馬知らないよ!!!!!」
俺「知らない方がいいんだって!!!!!」


弟「何この名前、初めて聞いたんだけど。いつの馬?」
俺「この馬は・・・ですね、あの・・・マヤノトップガン?と同じ95年のクラシック世代の馬なんだそうです。」
弟「夏目ちゃんのマネしなくていいから・・・」
俺「うふふふふ♥」
弟「・・・怒られるよ、本当に。」


 まず有権者の皆様に訴えたいのは、この馬がイブキタモンヤグラ

i-tamon.jpg

 91年に鳴り物入りで導入された新種牡馬、凱旋門賞馬キャロルハウスの初年度産駒なのであります。



弟「キャロルハウス・・・知らない・・・」
俺「代表産駒はコイツとエイシンサンサンぐらいだもん。要するに期待ハズレで終わってしまったんだな。」


 新馬戦をアッサリと勝ち上がり、続いて挑戦した若駒Sもアッサリと勝利。一躍クラシック候補となったイブキタモンヤグラ。続く弥生賞で5着、皐月賞でも5着と一流馬の素質を見せ、サンデーサイレンス初年度産駒旋風が吹き荒れる中で上々の成績を挙げるのであります。
 夏は古馬戦である札幌記念に挑戦し4着、続く古馬オープン戦の道新杯を制し、秋の菊花賞に向けて順調なローテーションを進めるイブキタモンヤグラ。しかし西の秘密兵器と言われたのも束の間、菊花賞トライアル京都新聞杯で自身初となる掲示板外に沈み、本番の菊花賞では13番人気と大きく人気を下げてしまうのです。



弟「あらら。」
俺「サンデーサイレンスの初年度でもあってな、皐月賞、ダービー、オークスをいきなりサンデーサイレンス産駒が
  制した年なんだよ。でもダービー馬のタヤスツヨシが秋のトライアルでまさかの連敗、ジェニュインは距離適性
  から秋の天皇賞に向かい、この年の菊花賞は混戦ムードが漂ってたんだよね。」


 そして迎えた菊花賞。一番人気はなんと、オークスを勝利し、海外遠征にも挑戦し、男のレース菊花賞に挑戦してきた女の子、ダンスパートナーちゃん。紅一点である女の子が一番人気になってしまうという異常事態の中で幕を開けた菊花賞は、後に数々のG1を勝利するマヤノトップガンが素質開花を告げる快勝。一番人気に推されたダンスパートナーちゃんは力及ばず5着。
 そのすぐ前の4着に、なんとイブキタモンヤグラが食い込むのです。
 これが全ての元凶になってしまうとは!!



弟「・・・菊花賞4着ってスゲェじゃん。しかもダンスパートナーに勝ってるって。」
俺「うん、そこそこの馬だったんだよ。」
弟「でも元凶って何よ。」
俺「じゃあ続きね。」


イブキタモンヤグラの新三大セクハラ競走 ①
1996年5月11日 第41回 京阪杯
~逃げて、ダンスパートナーちゃん!!性に目覚めた栗毛の淫獣!!~

 まず有権者の皆様に訴えたいのは、菊花賞で名牝に迫られた思春期の青年イブキタモンヤグラが、ダンスパートナーちゃんが放つ牝馬のイイニオイを感じ、ここから先の競走でやたらと牝馬の後ろに付く様になってしまったというコトです。この後有馬記念に挑戦し、これまた有能な牝馬であるアイリッシュダンスちゃんと僅差のシンガリ争いを演じるイブキタモンヤグラ。
 3歳時の勢いはドコへ行ってしまったのか?年明けの4歳戦、ただのスケベ野郎になってしまったイブキタモンヤグラは好成績をなかなか残せません。そして大阪杯の舞台で再びあの娘と再会を果たすのです、そう!!ダンスパートナーちゃんです!!しかしこのレースでは漢藤田伸二騎手の騎乗により先行。ダンスパートナーちゃんには近づくこともできずに失速し惨敗。

 これではムラムラが止まりません!!

 しかし、次のレースとなる京阪杯、ここでのダンスパートナーちゃんとの三度目の対戦で、彼の性欲が競走結果に繋がることになるのです。
 度重なる敗戦で、このレースでも9番人気の低評価。1番人気に推されたのはやはり愛しのダンスパートナーちゃん。今回も前回同様先行策を取るイブキタモンヤグラ、ここまでは前回と一緒です。しかし!!今回はダンスパートナーちゃんが違いました!!4角で一気に先行馬群に取り付くと一気に先頭を捉えて突き放そうとします。抜群の手応え、久々の圧勝を周囲が確信しました。が!!
 並んではいけない馬に馬体を併せてしまったのです・・・そう、淫獣イブキタモンヤグラ!!
 
イブキタモンヤグラ
「今夜、君のダンスパートナーに、俺はなる!!」


ダンスパートナー
「イヤッ、イヤッ!!イヤァァアアア!!!!!」


 最早マッチレースと言うより執拗なストーキング!!上がり33.5秒の爆発的末脚を繰り出すも、負けじと淫獣も33.7秒という自己最速の上がりで猛追!!
 結局ダンスパートナーちゃんは淫獣の追撃をクビ差振り切り、オークス以来の勝利を手にするのです。このレースをイブキタモンヤグラの新三大セクハラ競走の一つとさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。



弟「あのさぁ・・・」
俺「なんでしょう?」
弟「要するにダンスパートナーの2着になっただけじゃ?」
俺「うふふふふふぅ♥」

弟「・・・夏目ちゃんでごまかさない様に。」
俺「これで終わってしまってはそうかもしれないけど、イブキタモンヤグラの牝馬に対するセクハラは、これだけでは
  無いんですよ♪」


イブキタモンヤグラの新三大セクハラ競走 ②
1997年1月19日 第41回 日経新春杯
~追いかけるのではなく待つ!!狙われたメジロランバダ~

 まず有権者の皆様に訴えたいのは、淫獣イブキタモンヤグラは3歳の道新杯から勝てていないというコト。ダンスパートナーちゃんを追いかけ激走してしまった淫獣、その次のレースで疲れが思い切り出てしまい大敗してしまいます。
 その為、約5ヶ月の休養を挟み同年の秋に復帰。リフレッシュ後のオープン特別戦で6着になると、その次のレースにG2である日経新春杯を選択するのです。



弟「随分でかいとこ狙いましたね、京阪杯で2着になったとは言え勝ち星あげてないんでしょ?」
俺「重賞勝てなくても走り続けるのは珍しいコトじゃないだろ。」
弟「そりゃそうですけど。」


 そこに出走するメンバーの中に、非常に魅力的な女性が。前走圧倒的なパフォーマンスで三連勝を飾り、堂々重賞初挑戦一番人気のメジロランバダちゃんであります。
 メジロランバダちゃんの戦法は先行タイプ、淫獣と一緒。リフレッシュ後に一戦消化したものの実績を挙げていない淫獣はプラス体重が大きかったコトもあり、ここでも7番人気の評価。一番人気のメジロランバダちゃんとの評価は大きく溝を開けられた形です。2番人気は前走有馬記念は惨敗ながら、前々走で重賞鳴尾記念を制しているマルカダイシス。ここでは淫獣は流石に・・・というのが妥当な評価でした。

 しかし、淫獣がここで再びハッスルするのです。ゲートが開くと先頭に立ったのは、人にお尻を見せながら走るの大好きな変態逃げ馬のファンドリリヴリアおじさん。



弟「はい、ちょっと待った。」
俺「なんでしょう?」
弟「その言い方じゃ逃げ馬全部変態じゃねーか!!」
俺「いやぁ、ファンドリリヴリアおじさんは変態なんだよ。」
弟「どうしてさ!?」
俺「その内わかるよ。」


 ファンドリリヴリアおじさんの二番手に付けたのが淫獣イブキタモンヤグラ。本来目の前にあるはずだったセクシー美女メジロランバダちゃんのオシリはそこになく、あったのは全く興味の持てない8歳のオジサンのケツ。しかし、この程度のコトで落ち込んでは淫獣の名がすたる!!
 直線に入ると期待通りメジロランバダちゃんが伸びてきます。その前方ではオヤジのケツにイライラする淫獣がオヤジを交わしきれずにもがき苦しんでいる。その横を颯爽と交わすランバダちゃん!!その時!!

イブキタモンヤグラ
「ランバダだぁああぁああ!!!!!」


メジロランバダ
「ひぃいっ!!!!!」


ファンドリリヴリア
「ランバダじゃぁああぁああ!!!!!」


 最早余力が無くなったと思われた二頭に再び覇気が戻り、後方から飛んできたマルカダイシスにあっさり交わされるかと思いきや壮絶な2着争い!!スケベ度でわずかに淫獣イブキタモンヤグラに軍配が上がるのです。このレースをイブキタモンヤグラの新三大セクハラ競走の一つとさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。



弟「・・・完全にこじ付けにも程があるだろ。」
俺「いやいやいや。」
弟「大体なんでファンドリリヴリアおじさんまで変態になってんだよ。」
俺「いやぁ、変態になっちゃうんだよねぇ。」
弟「・・・なっちゃう?」


イブキタモンヤグラの新三大セクハラ競走 ③
1997年2月9日 第90回 京都記念
~痴漢電車の様に!!淫獣、パートナーと少女を潰す!!~

 まず有権者の皆様に訴えたいのは、淫獣イブキタモンヤグラは日経新春杯で共に先行したファンドリリヴリアおじさんと非常に仲が良くなったということです。


弟「はいはい、もうわかったから!!」
俺「なんだよ、話のド頭で流れを切りやがって。」
弟「師匠の妄想力はよーーーーく解った!!でも強引だろ!!
俺「大方の納得は得られてると思うんだが。」
弟「どこにそんな手応えがあった!?」



 前走から一ヶ月経たずの挑戦となったこの京都記念で、再びイブキタモンヤグラはファンドリリヴリアおじさんと再会。前走の好走から今回は4番人気に支持された淫獣、しかし当人にそんなことは全く関係が無いのであります。
 今回ターゲットになってしまったのは、エリザベス女王杯で低人気にも関わらず逃げ粘って3着になり、香港にも挑戦した5歳牝馬、シーズグレイスちゃん。逃げて味なこの馬にとって、ファンドリリヴリアおじさんの存在は非常にジャマなのであります。そして、シーズグレイスちゃんは変態ファンドリリヴリアおじさんと淫獣イブキタモンヤグラがタッグを組んでいることなど、当然これっぽっちも知らなかったのです!!



弟「どんなストーリーだよ・・・」
俺「かわいそうなんだよ、シーズグレイスちゃんは。このレースのせいで二度と勝てなくなってしまったんだろうな。」
弟「えぇえ、そんなヒドいコトされたの?」
俺「お前なら変態おじさんと淫獣に挟まれたらどうする?」
弟「だからそのストーリーは何なの!?」


 注目のスタート。前に行きたいシーズグレイスちゃん、しかし外枠が災いして内枠のファンドリリヴリアおじさんに案の定先手と取られてしまいます。目の前には8歳のオジサンのケツ。とてもイヤだったコトでしょう。

 そして振り向くとそこには淫獣が!!!!!

 そう、あろうことかシーズグレイスちゃんはオジサンのケツと淫獣に挟まれてしまったのです!!これこそ正にチームプレイ!!前からは『ほぉら、おじさんのオシリだよぉ~、オジョウチャン♥見て見て~♥』と言われ、背後からは『お前のケツを食いちぎってやる』と淫獣が目を光らせています。もう何もできません!!淫獣の鼻息がお尻に当たるだけでゾクゾクしてしまいます!!
 こんな状態が直線の入口まで続き、変態と淫獣の執拗な責めに力尽き、ボロ雑巾の様になってしまったシーズグレイスちゃんはズルズルと後退しぶっち切りのシンガリ負け、少女の尻を堪能した淫獣もマジメに走らず7着、少女に尻を思う様見せることを堪能した変態おじさんも9着に敗退してしまいます。

 そしてこのレース以来、シーズグレイスちゃんは掲示板に乗ることはありませんでした。このレースをイブキタモンヤグラの新三大セクハラ競走の一つとさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。



弟「シーズグレイスちゃんがかわいそう!!」
俺「・・・なんだよ、急に感情的になって。」
弟「女の敵めぇ~!!」
俺「まぁシーズグレイスちゃんは今お母さんとして無事に頑張ってますから。」
弟「よかった。でもさぁ、これほとんど師匠のコジ付けでしょ?イブキタモンヤグラが女好きっての。」
俺「一概にコジ付けのみとも言えないんだよな。中身は当然俺メイキングだけども。」
弟「ええ~、本当に女の子のお尻追っかけてたの?」
俺「性に目覚めたのを菊花賞として、それから中央で15戦してるんだけども。」
弟「うん。」
俺「内6回は牝馬の次の着順でゴールしてるから。」
弟「うわぁ・・・」
俺「イブキタモンヤグラの『多聞櫓(たもんやぐら)』って、城の防衛や反撃の拠点になる物のコトらしいんだけどさ、
  この馬の場合は多分『多悶輩』って書くんじゃねーかなーと。」
弟「ヤグラがヤカラになってますよ!!」
俺「悶々としてる輩になっちゃったのよ。」
弟「屁理屈言わせたらなかなかのものだよ、まったく・・・でも、そういう欲情とかって実際にあるんだろうけどさ、
  特定の相手に馬が感情抱いちゃったり、性別でなんか意欲が変わったりすることあるのかな?」
俺「いやぁ、あると思うよ。バブルガムフェローなんかは天皇賞でエアグルーヴをクンカクンカして、ジャパンカップで
  お尻見てた説あるし、ドリームジャーニーはウオッカちゃんが居るとハァハァして走れない説があったり。」
弟「男怖い。」
俺「逆にエアグルーヴなんかは牝馬同士だとイマイチ燃えないってのがあったり。フミノイマージンもそう。」
弟「なるほど。たしかにダークシャドウに勝った馬が牝馬同士でイマイチなのは変だもんね。」

俺「お前も変態に追っかけ回されるぐらいに
  なんないとダメだぞ。」

弟「そんなもんを女性の魅力の基準にすんじゃねぇ!!」



※ご清聴、ありがとうございました
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[ 2013/03/22 01:16 ] 新三大ごっこ | TB(0) | CM(14)