そうすいは、たくさんのきょうそうばをもつ おおうまぬし。
でも、きょうそうばはたくさんいるのに G1タイトルはあまりとれていません。
「ああ、おれもダービーとりたいなあ」
まいにちのように そうつぶやいていました。
あるひのこと、とてもつよそうなうまを てにいれたそうすいは、かれのかつやくをねがうために、
じんじゃにおまいりをしにいきました。
おさいせんをなげいれ すずをガランガランとならし りょうてをあわせ おいのりをすると、
じんじゃのとびらがひらき、
まばゆいひかりを はなちながら、なかから
きょだいな あおいめだまのオバケが あらわれました。とつぜんのできごとに、そうすいが こしをぬかしていると、あおいめだまのオバケが しゃべりかけてきました。
「きみのねがいを かなえてあげよう」
「あなたは いったいなにものですか?」
「わがはいは
シャダイ、けいばのかみさまさ」
けいばのかみさまときいて、そうすいは めをかがやかせました。
「わたしは、スーパーホースのオーナーになりたいのです いまいるうまに すごくきたいしていて、
ぜひともつよくなってもらい ダービーをかってもらいたいのです」
「なるほど なるほど それをかなえるには、きみのきもちの つよさがひつようだな てをだしてごらんなさい」
シャダイさまにそういわれ、そうすいが りょうてをさしだすと、
なにもなかった てのひらのうえが かがやきだして、なにかがすがたをあらわしました。
「・・・これは?」
「ラッパさ そのラッパを、かなえたいことを つよくねがいながら できるかぎりおおきく おとがでるように、そして できるかぎり
おおくのひとに ラッパのおとがきこえるように ふくんだよ そうすれば、ねがいがかなうんだ」
「それだけで ねがいがかなうのですか?」
「あとはきみの ねがいのつよさしだいだよ しっかりきもちをこめて、ちからづよく ふくんだぞ」
そういいのこすと シャダイさまはゆっくりと ぼやけるように すがたをけしてしまいました。

じゅんすいなそうすいは、うたがいもせず シャダイさまのいうとおりにしました。
すぐさま まちでいちばんたかい とけいだいの てっぺんにはしりました。
「ここでふけば、たくさんのひとに ラッパのおとがとどくぞ」
ちいさなラッパを ギュッとにぎりしめ、おおきく しんこきゅうをしました。
そして、かなえたいことを つよくねがいながら おもいきりラッパを ふきならしました。
なんということでしょう、ラッパからは ラッパのおとではなく、
おおきなそうすいのこえが ひびいてしまったのです。
「ああ、なんだこれは! はずかしいよう!」ラッパからでたこえは それはもうおおきく、まちじゅうにひびいてしまいました。
「おいおい、いまのこえはなんだ?」
「
マイネルレコルト? そうすいのところのうまじゃないか、そんなにつよいのか?」
「あれだけおおきなこえで いうのだから、これはそうとうつよいに ちがいないぞ」
「
ディープインパクトよりつよいのか、それはすごい」
まちをゆくひとびとは そうすいのラッパのこえを しんじてしまいました。
そうすいは はずかしさのあまり、まっかになったかおを てでかくしながら とけいだいをかけおりました。
そのようすを おそらのうえからみていた シャダイさまは、たのしそうにケラケラとわらいました。

でも、そうすいはラッパのちからを まだうたがっていませんでした。
これだけはずかしい おもいをしたのだから、きっとマイネルレコルトは ダービーをかってくれるだろう。
しかし、マイネルレコルトは あさひはいをゆうしょうすることは できたものの、ダービーをかつことは できませんでした。
「なあんだ、うそっぱちじゃないか」
「あんなうまに かてるなんて、だんげんしちゃダメだよな」
「でもG1のあさひはいをかったんだよ、あんまり ひどくいうのは、やめてあげようよ」
「あ、さんちゃくは しいだ! しーい!しーい!」
「うるせーよ、おい」
あくるひ、そうすいはラッパをかたてに シャダイさまにであった じんじゃにいきました。
「シャダイさま!シャダイさま!」
すずをガランガランならしながら シャダイさまをよぶと、
ひかりもせず、なかから めんどくさそうに
シャダイさまがでてきました。「どうしたんだね」
「どうしたんだじゃないですよ、ラッパをふいたけど、ねがいがかなわなかったんですよ」
「それはね、そうすいの きもちがたりなかったんだよ もっともっとつよくねがいながら ラッパをふかないと」
「もっとつよく・・・」
「そう、もっとつよく」
そのことばを、ふたたびしんじて、そうすいはシャダイさまと わかれました。
しかし、かえっていくそうすいをみて シャダイさまはクスクスとわらっていたのです。
そう、このラッパはシャダイさまのいたずら!
ただただ、きもちをつつぬけにしてしまうラッパなのです!こうなったらいいなというきもちを おおきなこえに かえてしまうラッパ。
そうすいは、そのことにまったく きづいておりません。
もっとつよく、きもちをこめて ラッパをふけば、きっとねがいはかなうんだ。
けっきょく、それからもそうすいは シャダイさまのいうとおり おおきなおとで、おおくのひとにむかって
ラッパをふきつづけました。
「マイネルスケルツィは あさひはいを かくじつにかって
ダービーまで むはいでつっぱしる うまになりますよー!」
「インパーフェクトでは イギリスのダービーをめざしまーす!」
「らいねんのダービーばの なまえをおしらせしまーす!
マイネルエクレウスでーす!」そのたびに シャダイさまは
「ああ、ゆかいゆかい」と、たのしそうに わらうのでした。
なんねんも ラッパをふきつづけてきた そうすいが、いままででいちばんの うまにであったのは、2013ねんのことでした。
ほっかいどうトレーニングセールで であった、いっとうのうま。
そうすいは かれに
プレイアンドリアルという なまえをつけました。
そして、そうすいのきたいを いっしんにせおった プレイアンドリアルは ちほうけいばで デビューをして、
ちほうざいせきばとして、ちゅうおうけいばに たたかいをいどむことになりました。
そうすいは かれに はてしないみりょくを かんじていました。
「プレイアンドリアルのために いままでで いちばんの、ラッパをひびかせよう!」いつものように、とけいだいのてっぺんから たからかにラッパを ふきならしました。

もう、そうすいには はずかしさは ありませんでした。
なんどもラッパを ふいていたので、なれてしまったのです。
しかし、それは まちじゅうのひとたちも どうようです。
なんどもラッパを きかされていたのだから。
「またそうすいが ラッパをふいているよ こりないなあ」
「どうせまた、いつもどおりな かんじになるんだろうね」
「せかいじゅうをさがしても そういないとは、ずいぶんと ふいたものだね」
ひとびとは ほとんどあきれがおで そうすいのラッパをきいていました。
しかし、プレイアンドリアルは いままでのうまたちとは ちがったのです。
あさひはいでは
やっぱりなかんじに なったものの、そのよくとしの けいせいはい。
プレイアンドリアルは このレースで、とてもつよいあいてに
とてもつよいかちかたをしました。
こういうきょりの じゅうしょうレースで、ちほうざいせきばとして しょうりするのは、そうすいごじまんの
コスモバルクいらい。
「こんどこそ、ダービーがとれるかもしれない!」と、そうすいはこうふんしました。 しかし・・・
げんじつは そううまくはいかない けっかをよういしていました。
けいせいはいのあとで、プレイアンドリアルは みぎまえあしに
けいじんたいえんをはっしょうしてしまいます。
かるいケガだ、すぐになおるよ ここでかてたんだから、あおばしょうでふっき、もしくはダービーちょっこうでもいいだろう。
そんなみんなの かんたんないのりは げんじつにうちけされて しまいました。
けっきょく、このケガがなおらず、11がつにプレイアンドリアルは いんたいすることになってしまいました。
いのりとげんじつ、プレイアンドリアルというなまえが ひにくにもかんじてしまう けつまつです。
そうすいは、プレイアンドリアルに あやまりました。
「ごめんよ、ひょっとしたら このラッパは
ならすとふこうになってしまうラッパなのかもしれない
いままで、いちどもラッパをふいて ねがいがかなったことがないんだ
アルゼンチンしきのちょうきょうにも むりがあったかもしれない
きみは、ほんとうはもっともっと つよくなれたかもしれないんだけどなあ ほんとうに ごめんよう」
うつむきながら くやんでもくやみきれない ひょうじょうで、そうすいは なんどもあやまりました。
「もうラッパをふくのは やめたほうがいいのかな」
ポツリと そうつぶやいたそうすいに プレイアンドリアルがいいました。
「ちがうよ、そうすい」
「ちがう?」
「
そうすいがラッパをふいたから、みんながんばったんだよ
そうすいのラッパの、おとのとおりにしようと、みんながんばったんだよ
そうすいも、ぼくも、だいちさんも、たべせんせいも、かわづせんせいも、きゅうむいんさんも、みんながんばったんだよ
それでもダメだった いちばん あやまらなければいけないのは、ケガをしてしまった ぼくのほうだよ ごめんなさい」
そのことばをきいて、そうすいのめから なみだがあふれました。
そして、このラッパの
あたらしいつかいかたを プレイアンドリアルから おそわることになったのです。
ラッパのおとのとおりになるように
がんばればいい。みんなにきこえるように ラッパをならしたら、ほんとうにそうなるように どりょくをしなければならない。
いったことが ウソにならないように しなければならない。
そうすいは いまもラッパを ふきつづけています。
みんなに
「またか」 と いわれながらも ふきつづけています。
ゆめをかなえるためではなく、ならされたおとを げんじつにするように。
じぶんでならしたおとを しんじられるように。
★おまけ
「ところで、またわがはいが
悪者扱いされてるんですけど、
皆さんどう思います?」※つーわけで札幌2歳Sは
◎トラスト シャダイさんをクリックすると、今回のおはなしの
失敗しちゃった部分を聞かせてくれます
↑PLEASE 1DAY 1CLICK EVERYDAY!!
http://tiltowait0hit.blog.fc2.com/blog-entry-1237.html名作劇場 ~~そうすいのラッパ~~