Sing with joy

週末の競馬は皆が楽しみにしているものだと思う。
純粋にギャンブルとしてだったり、スポーツとして好きな馬や騎手を応援したり、楽しみ方は人それぞれ。
だから、なるべく終わった後はどういうカタチであれ笑っていたいものだ。

ここでは競馬だけではなく、よく大相撲の話もする。
日曜日は初場所の千秋楽だった。稀勢の里関は既に優勝を決めていた中で行われる、白鵬関との結びの一番。
土曜のブログで私はこう言った、白鵬に勝って優勝するのと負けても優勝と言うのでは大違いだと。
恐らく白鵬関は稀勢の里関を圧倒してやろうと考えていたのだろう、普段の彼とは異質な鬼気迫る寄りに、一気に
土俵際まで稀勢の里関は追い詰められた。
やはりこうなってしまうのか、そう苦笑した矢先に稀勢の里関は僅かなスキ、白鵬関の体が沈み込み過ぎ、力が
逃げる体勢になったところで一瞬のすくい投げを放ち逆転。
あの攻めを堪えられてなければできない逆転劇に、ようやく心の底から言いたかった「優勝おめでとう」を彼に向けて
贈れる。本当に清々しい勝利だった。
でも、未だに「まだ横綱決定にはもう一場所見てほしいなぁ」って思っちゃうのは厳しいのだろうか?

そして夜、全豪オープン。
世界屈指の強豪、元世界王者フェデラー選手と対峙した錦織選手の姿があった。
第1セットの立ち上がりは錦織選手が猛攻、しかしフェデラー選手が徐々にピッチを上げてくる。
そんな第1セットはタイブレークまで持ち込まれてイヤな空気を感じた中、なんとかこのセットを掴み取った。
これはもしかして、あのフェデラーに勝てるのでは・・・?
しかしそんなに甘くはない。レーザーの様なサービスが唸りをあげてコートの中央をバンバン貫いていく。
これが世界の頂点を極めた男のサーブか、他の強豪達が序盤で姿を消した全豪オープンは優勝のチャンスだった
とは言え、やはりトップランカーの本気には敵わないのか。
第2、第3セットは一度もブレークを決められず、第3セットに至っては6対1というゲームスコアに終わり、ここで
フェデラー選手という相手には敵わないと思った人も多かったと思う。

しかし錦織選手のサービスゲームだった第4セットの第4ゲーム、見ていた人はこのセットを見れたことを幸せに
思っているだろう。正に死闘だった。
ダブルフォルトを出してしまった苛立ちでラケットをコートに叩きつけてしまう場面もあったこのセット、その後に
調子を取り戻した気がするのは私だけだろうか?
サービスゲームをキープできてこそ、という部分がテニスにはあるが、このゲームは何度もピンチに陥りながらも
懸命に我慢をした。5回のアドバンテージ、7度のデュース、フェデラー選手にアドバンテージが渡る度に訪れる諦めを
錦織選手はひたすら我慢し、最後のアドバンテージをものにした。このゲームがあったからこそ、セットポイントを奪い
最終セットにまで勝負を持ち込めたんだと思う。
メディカルタイムアウトを取り、満身創痍の体を何とか動けるようにして挑んだ最終セットではフェデラー選手の
一方的な展開になってしまい、結局は敗退してしまった。でも、この第4セットを見てる最中は手の平が常に汗で
ビッショリしていた。

スポーツを見てて思うけど、テニスという競技は数あるスポーツの中でも本当に過酷だと思う。
この試合も3時間をオーバーしている。フルマラソンに要するよりも長い時間を、コートの中でほぼ延々と全身を使って
動き続ける。時速200㎞のサーブを放ち、打ち返すのだから、腕に掛かる負担は尋常なものではないだろうし、左右に
揺さぶるラリーでは急激な瞬発力を何度も使うことを足に強いられ、それをフルセットまで続ければこれだけの長時間、
そんな動きを繰り返さなければならない。
そんな戦いだからこその美しさというのがテニスの魅力なのかもしれないなと、この試合を見てて感じた。

相撲にしろテニスにしろ、こういう試合が、戦いが見たいと思って観戦しているのは私だけじゃないハズだ。
今日の初場所千秋楽と全豪オープンは、いずれもそんな私の希望に応えてくれた。いいものが見れたとつくづく思う。
しかし、時としてスポーツは、こういう場面は見たくなかったと思わせることもある。


AJCC、第4コーナーから直線への立ち上がりで、シングウィズジョイが躓いてかなり激しく転倒してしまった。
競馬を見てて何度も思う、見たくない瞬間だった。


落馬事故にこういう言い方は不適切かもしれないが、壮絶だった。
何よりも倒れ込んだシングウィズジョイが起き上がれなかったこと、それが本当に辛かった。
ツイッターでは様々な現地情報が交錯していた。
現地では彼女に「立って!!」とか「起きて!!」と声をかけていた方も居たそうだ。泣いていた方も居たらしい。
起き上がったルメール騎手がちらりと、横たわった彼女に向けた悔しそうな視線が悲しかった。

私は交錯する情報の中、ただただ公式の発表を待った。
現地からは目隠しシートが持ち出された時点で諦めを感じさせる声が、ネットで彼女の安否を追う方からは、
診療所に運搬され、骨折はしていないが立ち上がれないという情報が流れた。
私は後者を信じていたんだけど・・・午後6時、JRAが彼女の予後不良を公式発表した。

シングウィズジョイと言えば、私にとっては久々の万馬券をエリザベス女王杯でもたらしてくれた女神様。
いや、それだけじゃないんだ。彼女には何かと思い入れがある。
思えば2歳の頃から彼女の名前が好きだった。アルテミスSではどんな馬かも解らず名前だけで本命にしていたっけ。
あと未だに覚えてるんだけど、オークスの時にシングウィズジョイとココロノアイが隣同士の枠に入っててさ、
それをテレビで見てて、2頭続けて名前呼ばれると出来の悪いヒップホップみたいで。何かと自分の中で引っかかる
部分があった馬だったからこそ、エリザベス女王杯であんな強気に本命打てたのかなって、振り返るとそう思える。


楽しそうに歌うなんて、いい名前じゃないか。


そんな彼女の最後の姿が、あれだけ痛々しく終わるのはおかしい。
先ほどの後者の情報を信じたかった、名前の通り鼻歌でも唄いながらケロッとした顔して戻って来るだろうと。
でも結局、その願いは叶わなかった。

先ほど言ったが、予想もそうだけど、競馬だけじゃなくてスポーツには自分の理想を望んで見ている部分があるハズだ。
誰だって馬達の不幸な姿を想像して予想なんかはしていないだろう。
こういう場面は本当に悲しい、でも起きてしまうこともある。競馬ファンの辛いところだ。人間ではないとは言え、
それが生命に繋がる率が他のスポーツに比べて格段に高いのだから。
相撲もテニスも、絶対にとは言えないが命を失うことはまず無い。

彼女の事故後、ツイッターではある揉め事が起きてしまった。
あるアイドルがAJCCの馬券を当てた喜びをツイートしたことに対し、「シングウィズジョイが大変なことになったん
だぞ、心配くらいできないのか」と、それを見た人達が次々に噛みついてしまったのだ。
気持ちは解らないでもない、アイドルが競馬好きと公言してくれるのは広報だ。そんな立場なのだからもう少し
気を遣うべきだとは思う、ああいう事故の後に絵文字でデコってただ喜ぶのは、公人としていかがなものかと。

でも、正直そういうところで第三者として過敏になるのもどうかと思うのだ。
いや、以前の私だったら同じリアクションをしてしまっていたかもしれない。
でも結局、互いの道徳感の押し付け合いって、あまりにも傍から見ていて「なんだかな」って客観視することが
多くなったので、そう思ってしまうのだろう。
まぁ、中にはこういう事故のことを笑って見れる人も居て、なるべくそういう人とはお近づきにはなりたくないのが
正直なところではあるのだが。
この問題とデマはこういう事故が起きる度に必ず発生するので、個人的には波風を他所に置いておきたいのに目に
付いてしまうから厄介なもの。

楽しみにしていたレースで、悲しい事故が起きてしまう。
大好きだった馬がそうやって旅立ってしまう。

今に始まったことではないけど、そういう出来事は決して流さずに心に留めておき、その上でこれからの競馬を見守る
ことが、競馬の為にも大事なことだと個人的には考えている。
ある意味、ドライな方がギャンブラーとしては向いているのだろうが、まず自分自身をギャンブラーだと思っていないし、
どうしてもこういう出来事は悲しくなってしまうし、散ってしまった彼女にはちゃんとお礼とお別れは言ってあげたくなるし、
まぁ私はそれでいいのかなと思っているし、否定される筋合いもないとも思っている。

今更だけどAJCCの1~3着はいい結果だったと思う。
リアファルの失速は心配なところだけど、勝ったのが当世代の強豪と言えるタンタアレグリア。久々でもやっぱり強いって
ところを見せてくれた。2着は中距離の堅実派がすっかり板に付いてきたゼーヴィント。なんか突き抜けきらない印象もある
けれど、どんな相手でもコースでもそれなりの走りをする辺りはG1の善戦マンになれるかもしれないって感じだ。正直言って
G1馬になれるとは思ってないけど・・・
驚いたのはミライヘノツバサの3着。先日の予想でも言ったけど、このメンツでは足りてないと思っていた。例えコースと距離が
得意と言ってもまだまだなんじゃないか、そう予想していたけど4着を離して見せ場充分の3着だもんね。
こういう先行馬が力を付けてきてくれると、ここから先の古馬戦予想が楽しくなってくるハズだ。中山以外でもこういう走りを
見せてもらいたいな。
未来への翼なんて、いい名前じゃないか。

シングウィズジョイの最後のレースになってしまったAJCCだけど、紅一点で果敢に挑戦してきた彼女の分まで、
今日を共に走った彼らには頑張ってもらいたい。もちろんエリザベス女王杯の面々にも。

今は彼女が、苦しみから解き放たれてその名の通り天国で好きなように歌いながら駆けていることを願います。
多分彼女も自分のことで言い争う人達なんて見たくないんじゃないのかな。

エリザベス女王杯、頑張ってくれてありがとね。スゲー嬉しかったよ。びっくりしてキョトンとしちゃったくらいだ。
もっとシングウィズジョイがその名前通りに楽しく走るところを見たかったけれど、これからは貴女の分まで他の馬達を
応援させてもらいます。
勝手に、そうした方がいいだろうなと思ってるけど、それでいいかな?
同じ厩舎のマカヒキは多分これからもいじっちゃうだろうけど、許してくれるかな?

本当に今までありがとう、お疲れ様。今はどうか安らかに。
シングウィズジョイへ、合掌・・・






「悪い見本」管理人:TILTOWAIT




[ 2017/01/23 00:39 ] 雑感 独り言 | TB(0) | CM(5)

No title

チルさんいつも楽しくブログ読ませていただいてます。
私にとってシングウィズジョイはとても馬券的には相性が悪く買えば来ない、買わなきゃ来る子だったので印象が強くて、私も今回のことすごく凹んでます。自分の馬券が下手なだけなのにいつも彼女のせいにしちゃって...
今週は馬券も買ってなくて後でルメールの落馬記事で彼女か亡くなったのを知ったのですが、悲しくて悲しくて仕方なかった。

でもチルさんのブログを読んでて良かった。彼女が帰ってくるわけでは気持ちが落ち着いたきがしましす。ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。





[ 2017/01/23 21:20 ] [ 編集 ]

いつも拝見してます

僕の彼女もシングウイズジョイの事は大好きだったのでショックを受けてレース後泣いて
夜はエリ女の動画見ながら泣いてました。
しばらくシングウイズジョイロスは続きそうです。

事故のないレースがやっぱり良いですね。
[ 2017/01/23 21:56 ] [ 編集 ]

No title

シングウィズジョイは残念でした。
まだまだこれからもある馬でしたのに…

エリ女では万馬券をありがとう!
あとは、安らかにお眠りください

同世代の馬たちの活躍を草葉の陰から見守ってくれると思ってます!

ご冥福をお祈りします

あと、ルメール騎手は大きな怪我でなくてよかったです
シングウィズジョイが守ってくれたのかもしれないですね!
[ 2017/01/24 00:36 ] [ 編集 ]

No title

「悪い見本」 が競馬ファンへの 「良い見本」である所以。

この記事に大きな拍手を。

[ 2017/01/25 16:57 ] [ 編集 ]

No title

こんないい記事に出会えるとは。

シングウィズジョイに冥福を。
[ 2017/01/26 01:07 ] [ 編集 ]
立札4

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