贈る言葉 ~折笠豊和騎手、引退によせて~

「さびしい」 と 「さみしい」 の違いってなんだろう?

そう思って調べてみたところ、この二つに違いは無いらしい。ただ、「さびしい」の方が伝統的であり、「さみしい」という
読み方は江戸時代以降に生まれたものなのだそうだ。
なので正確にはどちらかと言ったら「さびしい」になる。今はパソコンなどでどちらも漢字変換ができるけど、常用漢字表の
読み方では「さみしい」は認められていない。じゃあ「さみしい」だと間違いになるんじゃないのか、と言われても、今は定着
しており、どちらも認められてるから・・・なんか難しいけど、とにかく現代に於いてはどちらもOKってことだそうです。

漢字でも二つに分かれる。「寂しい」と「淋しい」、この二つには違いがある。
一般的なのは「寂しい」の方。物静かとか、閑散としてる様とか、人の気配が無い様子とか、大体はこっち。
じゃあ「淋しい」はと言うと、肉体的な表現の場合に使うのが正解らしい。つまりエロい意味。
つまり、私がしょっちゅう感じてるのは「淋しい」の方である。ふむ、勉強になるな。


このニュースを知った時、私はどう感じたか。
ずばり、 「さみしい」 である。


ここまで話して、両者に違いはなくて正確に言うのであれば「さびしい」になると言っておいてだけど、
「さびしい」ではなくて「さみしい」なのだ。
もう意味合いは関係なく響きがソレなんだよね、「び」と「み」の響きの違い。
なんか、「び」って固いじゃん。それで「み」はやわらかいでしょ。解る?解らないか。まぁでもそんな感じ。
響きとして「さびしい」よりも「さみしい」にはフワっと感があるというか。強烈にこみ上げてくるワケじゃなく、じんわり
してるというか。

受け止められない程の強さじゃなく、受け止めたら受け止めたでグッと来てしまうというか・・・
今こうやって話をしている内にも「さみしい」がどんどん乗っかってくるっていうか・・・そんな感じ。


今日を最後に、我らがオリィこと折笠豊和騎手は、騎手を引退することになった。
これからは飲食系のお仕事をされるそうだ。
何度も言うけど、本当に 「さみしい」 。


彼の引退というのに現実味が無いのも、気持ちを薄ぼんやりとさせる原因にもなっているだろう。
はっきり言って私のスキな逆説だ。これだけの成績でまだ騎手を続けている以上、やめる方が逆にオカシイのだ。
だからオリィという騎手は永遠に騎手であるだろう、どこかしらで勝手にそう思い込んでいた。
でも、引退という言葉が現実に出てきてしまったら、それはそれで「そ、そうだよな」になってしまうワケなのだよ。
改めてオリィの通算成績を見てみよう。


【4.17.12.1605】 勝率0.2% 連対率1.3%


・・・

・・・よくやってこれたよな、というのが率直な感想になるでしょ。この数字。
しかも、これが約16年の騎手キャリアで積み重ねてきた数字なんだぜ?無茶苦茶過ぎるだろう?

それなのに彼が騎手を続けていたから、注目を集める様になったというのは間違いではないと思う。うん、多分
それで合ってる。
確かに、負け続けているのに現役を続けているってだけでプロの世界では珍しい存在になる。それこそハルウララは
勝てないことで注目された馬だ。
でも、ある程度そうやって注目された後にはどうなるか。今度は勝つことを望まれなくなるのだ。勝つことで、負け続けて
築いた地位を台無しにしてしまうから。そして、当然の如く負けることは簡単なので、それがワザとできてしまうって邪推
できてしまうと、負け続けて人気を集めるとはどういうことなのか?と気付いてしまう。

結局は勝負事、大事なのは勝つことに決まっている。ハルウララはそういった意味で可哀相な馬だった。
そうやって変な人気を集めてしまったが為に、その人気目当てのワケが解らない主のもとに渡り、いつの間にか行方不明
扱いになってしまい、2014年に 「生存が確認された」 とか言われて再び発見されるとか、かつて一世風靡したアイドルが
なんて悲惨な運命を歩んでいるのだろうと苦しくなったものだ。
でも、ハルウララは馬だったからこそ、偽りのない頑張りを感じさせてくれたし、同情も集めることができたんじゃないかなぁ。
これが人間だったら果たして人気者になれていたかどうか。

オリィとハルウララは一緒にしてはいけない。
オリィが浦和で人気者になれた理由、それは勝てないから・・・という部分も確かに少なからずあるだろうが、それだけで
果たしてレッズというJ1強豪チームを要する浦和の人々が彼を愛するだろうか。

彼は本当に浦和で愛されていた。
出走する度に複勝を購入するおじさんも居たらしいし、オリィになら馬券を割られてもしょうがないって笑うしかないとか、
彼の周りには自然とそういうルールみたいなものが出来上がっていた。
どうしてそうなったかが、ハルウララとは全く違うところだ。
2013年、オリィは南関東4競馬功労騎手賞を受賞している。「オリィが受賞するってどんな賞だよ」って意見も多く聞かれ
たが、南関4競馬への貢献の功労を称える賞ということなら、彼が受賞することに、彼を知る者は異論を唱えない。
ある者がこの引退の報を聞き、ツイッターでこう呟いていた。


「浦和に行く楽しみが無くなってしまう」 


オリィは浦和のお客さんの最大の楽しみの一つだったということだ。
それはレースでオリィが勝つ瞬間を待ち望んでいるから?うん、それもあるだろう。オリィが勝ったら浦和はお祭りだ。
浦和の商店は全店舗が店を閉め、街中の至る所で酒盛りが始まる。ノンフィクションだぞ。
でも、それだけじゃないんだ。
彼のファンサービスの熱心さは度々「南関魂」でも取り上げられていたが、彼は浦和に来るお客さんのことを本当に
大事に思っていたし、それが皆に伝わったから彼は愛されていたんだと思う。
浦和の人々は、浦和が大好きなオリィのことが大好きだったんだろう。
「浦和に行く楽しみが無くなってしまう」とは流石に言い過ぎな気もするけど解らなくもない。
彼に会いに、浦和競馬場に足を運び続けた人も居たってコトなんだ。


このブログのタイトルは「悪い見本」。
ネーミングは、『例えブログで真剣に予想をしたとしても、自分の予想はポンポン当たるものでもないだろ』という自虐で
あり、実際にそうなってるので我ながらいいタイトルを付けたと自賛してしまう。同時に悲しさもあるが。

でもこのタイトルはオリィからの影響も受けている。それはオリィも「悪い見本」だからだ。
しかしそれは騎手として勝てないオリィのことであり、人間性のことではない。
「悪い見本」 「勝てない」 「ヘタクソ」 の後に 「だけど・・・」 を付けられるブログにしたい。それが正にオリィの
ことなんだよね。
勘違いしてもらっちゃ困るのが、勝てないのに騎手を続けられるオリィを見て、「ああ自分も勝てないけど続けていいんだ」
ってコトではないって部分。そういうことじゃないんだよね、それではただの負けへの慣れになってしまう。

オリィは負け続けながらも、懸命に浦和の為に努力をし続けてきた「良い見本」でもあるから見習いたいと思ったんだ。
「悪い見本」であると同時に「良い見本」としてオリィのことを見続けてきたんだよ。
勝ち負けという最も大事な部分をないがしろにしていたワケじゃないだろうけど、それ以上に彼は浦和を大事にしてきた。
それと同じように私は競馬を大事にできたらいいなと、そういう気持ちでこの「悪い見本」を続けている。

このブログを始めて、次の6月で5年になる。その間にオリィは全4勝の内の3勝を挙げた。
初勝利をここから遡ると2005年、もう11年以上も前だ。しかもこの初勝利はデビューから4年4か月経ってのコト。
そう考えると、この成績でも「俺がブログ始めてからオリィ、スゲー頑張った!!」と思ってしまう。
中には「こんなひょいひょい勝つオリィはオリィではない!!」と言う方も居たみたいだが。いやちょっと待て、この
成績でひょいひょいは無いだろうとツッコミたくなったものだ。
その勝利の度に、ここではお祭り騒ぎをさせてもらった。例えその時に彼の馬券を買っていなくても、こういう祝祭感を
もたらしてくれる騎手は後にも先にもオリィぐらいなんだろうなぁ。


やっぱり印象に深い勝利は2勝目ですよ・・・あの時はヒドイ目に合わされました。
ブログの開設1周年を翌週に控えた5月20日。

「来週の浦和開催で1周年祝いの勝利を挙げてくれ、オリィ!!」って言ったら、来週じゃなくてその日の川崎開催で
勝ちやがったという・・・
何かと、このブログに縁のある日に勝ってたよね。マジで読者なんじゃねーかと未だに疑ってます。
最近取り上げなかったから、また勝てなくなっちゃったのかなー・・・


オリィは自身の最終騎乗週になった浦和の第10回開催で週2回の連対を叩き出した。
ここでも言ったけど「何故ハイパーエンジェルなんて有力馬にオリィが・・・?」という点が気になった、この開催。その
ハイパーエンジェルの騎乗は冨田師からの最後の温情だったのではないか、という声もあったんだよね。
でも、そうなると驚かされるのがその3日後のエキシビジョンでの2着。
あのレース、オリィは最後のチャンスだって思って騎乗してたんだろうな・・・相変わらず騎乗姿勢は妙に不格好ながらも
「いける」と思っていたに違いない直線の攻防。
まさか、このレースの後にこんなタイミングで引退が報じられるとは思ってなかったから、今年のオリィはひょっとしたら・・・
って思ってたんだぞ。そう思った浦和のファンも大勢居たみたいだぞ。

今後は競馬関係に就かずに飲食系の仕事をするそうだけど、まぁいきなり自分の店を持つということではないだろう。
でも、もしも自分の店を出せる様になったら浦和競馬場の近くに店を出してほしいな。
きっと大勢のお客さんで賑わうハズだ。800万人居る元教団員の溜まり場にもなるだろう。
お店の中では南関の競馬中継やってて、土日はレッズの試合を応援してて・・・いや、オリィは現地に行っちゃうだろう
から試合の日は休みになっちゃうか。でも、そのお店の中心には、浦和を愛し、浦和に愛された男が居るワケさ。
コレ、浦和の売上にもかなり影響するんじゃない?浦和競馬場はオリィの出店に援助してもいいんじゃないだろうか。
ああ、小久保先生にたかってもいいか。ダメか。
もしも実現するのであれば、私も絶対にお店に足を運びたいと思う。


やっぱり皆 「さみしい」 だろうと思うんだよ。
成績見れば納得できるんだけど、いやもうちょっと騎手やっててくんない?って願っちゃう。
これでオリィが全く競馬と関係なくなっちゃうのはちょっとイヤなんだよな、違う形でもまた戻ってきてほしい。
勝手な言い分だけど、そう思わせてくれるのはオリィだからとしか言いようがないんです。


騎乗は無いけど、オリィが騎手であるのは今日まで。
教団員として、教団服を着れるのも今日が最後です。せっかくだから、このトリコロールカラーの服を着て
オリィの新しい門出を祝いましょう。

引退の報せを聞き、真っ先に頭の中で流れたのが海援隊の「贈る言葉」。
ナイター開催の無い浦和、最終レースの終わった「暮れなずむ街」の情景が浮かんでくる。まぁ、浦和を去るワケでは
ないかもしれないけど、長年の思い出が詰まった浦和競馬場を「去りゆく」彼の姿も見える。
「贈る言葉」は、歌詞の中にその「贈る言葉」が何なのか書かれて無いんだよね。


「さよならだけでは 寂し過ぎるから 愛するあなたへ 贈る言葉」
「はじめて愛した あなたの為に 飾りも付けずに 贈る言葉」
「遠ざかる影が 人混みに消えた もう届かない 贈る言葉」


3番の詞はちょっと切ないけど、1番と2番は今のオリィにピッタリだ。
さよならだけでは寂し過ぎる。飾る様な言葉は必要ない。
そんな、オリィに向けて「贈る言葉」。



今までありがとう!!そして
これからも頑張ってね!!




・・・これに尽きるよ、マジで。本当に今までありがとう、次の人生も頑張って、オリィ!!



・・・



・・・せっかくだから3番の歌詞の「贈る言葉」も、最後に言わせてよ。



贈る言葉



・・・もう届かないのなら、逆にいいかと。届いてもいいけど。






「悪い見本」管理人:TILTOWAIT 






ジーク・オリィ


[ 2017/01/31 01:26 ] 折笠騎手観察日記 | TB(0) | CM(7)

No title

今日のブログを見るために今まで拝読させて頂いていたような気がします。
例え上手くいかなくても、自分の持ち場を愛し頑張る人は職種を問わず素敵ですね。
応援しながら、応援されていたんだと思います。
ありがとう折笠騎手。

主様もありがとうございます。
これからも楽しみにしています。
[ 2017/01/31 02:25 ] [ 編集 ]

ありがとう
気持ちのこもった文をありがとう

私も浦和に行く事はもうないかと思います



[ 2017/01/31 07:25 ] [ 編集 ]

No title

空前絶後のォォ!!!!超絶怒涛のレッズサポター兼ジョッキィィィ!!!浦和を愛しッ!!浦和に愛された男ォオオ!!!生涯勝利数4勝、勝率0.2、連対率1.3、すべての記録と記憶の産みの親ァ!!! そう我こそはアァ!!!折笠!!豊和!!!イェェェエエエーーーーーイッ!!!ジャスティス!!!!!
[ 2017/01/31 07:46 ] [ 編集 ]

No title

好きなんだけど、楽しいんだけど、いくらやっても上手くいかないこと。他人から見れば何の意味もないようなこと。徒労と言われても仕方ないようなこと。
でも、それは決して無駄なんかじゃないんだ。彼を見ていてそう思います。
明日からは、私がオリィです。
[ 2017/01/31 15:20 ] [ 編集 ]

マークシートにオリィ単勝100円を塗りつぶして、そっとマークシート置場に戻すというほっこりするイタズラが出来なくなるね…。
[ 2017/02/01 00:28 ] [ 編集 ]

サミシイゼ…

1月2日、文男さんと寿希也くんからお年玉をいただき浮かれていたら、
最終レースの出馬表に「折笠」の文字を発見。
今年最初のお布施で複勝馬券を購入し、最後方を走るオリーのお姿を拝もうと待っていると、
なんと中段あたりにいらっしゃったオリー!
結果はブービーでしたが、今年のオリーはちょっと違う!期待の一年に!と思ったものです。
その気迫がこういう事情から感じられたのか…と思うと、淋し…寂しくなります。

浦和にはなかなか行かれず、お姿を拝む機会が多かったのは川崎でした。
川崎記念を現地観戦することにしましたので、個人的なオリースポットで別れを惜しむ予定です。

次のお仕事での成功を願っています。
[ 2017/02/01 01:50 ] [ 編集 ]

長らく袖を通してきた教団服、とうとうその服ともお別れだ。

今まで何度我々はゴッドに祈りを捧げ、悪魔Tの写真を燃やしてきたことだろう。

数々の歓喜があった。

念願の勝利に興奮し、涙することもあれば、
出走表を見て落胆し、ゴッドの御降臨を待ち臨む日々もあった。

情熱大陸やネイチャーに取り上げられたこともあれば、
教団内で裏切り者が出ることもあった。

御力の解放を畏れながらも、その時を心の底から待ち望んでもいた。

良いも悪いも色々あったが、今ではすべて良い思い出だ。

これらの思い出は、すべてゴッドが浦和におられた軌跡であり、
またゴッドが起こした数々の奇跡の証でもある。

ゴッドがおられたからこそ、浦和競馬は一つになれた。
ゴッドが御降臨されていなければ、我々の競馬ライフがこれほどまで色濃くなることもなかったかもしれない。

だからこそ、我々もゴッドに感謝しよう。
そして、喪失感を振り切り、祝福しよう。ゴッドの新しき門出を。

たとえ鞭を置こうとも、ゴッドは、オリィは不滅であられるのだから。

ありがとう、オリィ。
そして、オリィの新たな門出に乾杯。

ジーク・オリィ!!!!!
[ 2017/02/01 23:07 ] [ 編集 ]
立札4

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