ウマスレイヤー 03

【03】


「休む暇など与えぬぞ!イヤーッ!」

追っ手がヒットザターゲットに追いつく。今がチャンスだと判断した追っ手のキョーソウバは
躊躇なくスパートした。

サポロから開始された追跡劇は、今やネオフナバシに至っている。
ケイバ・シティであるネオフナバシには各所に競馬場めいたオブジェが点在している。

ヒットザターゲットはキョーソウバのスパートを躱すとその身を翻し、回転跳躍!
くるくると高く回転しながら跳んだヒットザターゲットは、路外の巨大オブジェクトの上に着地した。
深緑色に塗られたスタート台の上に!


「ドーモ、はじめまして。ヒットターゲットです。」
「ドーモ、はじめましてヒットザターゲット=サン。
 エキストラ・エンドーです。」



ヒットザターゲットはスタート台の上からエキストラ・エンドーを見下ろした。
このスタート台もネオフナバシのケイバ・オブジェクトの一つである。高層ビルが縦並ぶ中には
他にもゲート、電光掲示板、大竹柵、ハイセイコー像などが奥ゆかしく配置されているのだ。


今まさにこの時、観客沸き立つ重賞アワー!
荘厳なるファンファーレが、壮絶な
レースの開始を告げる!!








「押っ取り刀で駆け付けたか、腐れ鼠め。オヌシの仲間がいかにして抜かれたか知りたいか。」
スタート台の上からヒットザターゲットが問う。
「その必要はない。」エキストラ・エンドーは返した。
「奴らの敗戦はモニタリングしておった・・・サンシタが何頭抜かされようがどうでもよし!だが、貴様は
 逃げおおせることはできん!」

ヒットザターゲットの眼が鋭く光る。明らかに先の2頭とは格が違う。
その肌から感じられるテマエ、宿しているウマソウルは遥かに格上だろう。
隙を与えんとするエキストラ・エンドーは「イヤーッ!」と掛け声を挙げ、再びヒットザターゲットに
襲いかかった!


「『シャダイ』に楯突く行為がいかなる罰を招くか、これからお前は
 知ることになる!」

真横に対峙したエキストラ・エンドーが言う。彼のブリンカ・スカウタは今も尚ヒットザターゲットの能力を
つぶさに分析し続けている。


「おお・・・『シャダイ』。」
ヒットザターゲットが微笑を浮かべ、エキストラ・エンドーに応える。
この間も激しいレースは続いている、その中でこれだけの会話が交わされるということは
互いに間違いなく手練の域!

「その黄色と黒のストライプエンブレム、オヌシらの名は『シャダイ』か・・・覚えたぞ。」
「オヌシの目的を言うがよい!」
エキストラ・エンドーは問うた。

高性能であるはずのブリンカ・スカウタは未だにこのクロス・メンコのキョーソウバの実力分析が
できていない。こんなことは過去に一度として無かった。
堂々たる戦闘者の態度の奥底で、彼は密かに名状し難い不安を覚えていた。

「目的か」
ヒットザターゲットは喉を鳴らして笑った。
手練であるはずのエキストラ・エンドーは、その笑みから感じてしまった恐怖を押し殺した。
そして、ヒットザターゲットがその目的を語りだす。



「キョーソウバを追い抜く。当然、
 オヌシも追い抜く。」




言葉を連ねる程、ヒットザターゲットの言葉がドスを増す。
彼は更に憎悪の篭った声でこう続けた。



「シャダイのキョーソウバを全て
 追い抜く!!キョーソウバを、
 すべて追い抜く!!」



彼の額のクロスが禍々しく赤く光る。
眼は血走り、肌に突き刺さらんばかりの怨念と殺気がエキストラ・エンドーに届く。
(此奴は本気でそう言っておるのか・・・バカメ!)
消されぬ恐怖に抗うかの様に、そのフクナガめいた目的にエキストラ・エンドーが返す。

「なんたる気性難の戯言!!」

挑発めいた言葉に再びヒットザターゲットが嘲笑する。

「・・・果たして戯言かな?」

気性難であることを否定せず、ヒットザターゲットは不気味にそう答えた。
エキストラ・エンドーの背中にゾクリと冷たい感触が走る。コワイ!

「イヤーッ!」エキストラ・エンドーはキックバックを上げ、ヒットザターゲットを牽制する。
懐に潜り込ませるわけにはいかない、このキョーソウバはキケンだ!芝生を高々と蹴り上げて視界を
奪い、怯んだが最後、一瞬でレースを終わらせてやる!

しかしキックバックの塵の中にヒットザターゲットの気配は・・・存在していない!
「どこを見ておる、フシアナめ!」
先程まで直後に居たハズのヒットザターゲットの声は、エキストラ・エンドーの耳元で鳴った。
「アイエエエ!?」

エキストラ・エンドーはシャダイ・キョーソウバの手練だ、過去にキンパイを手にした実績もある。
それだけに斤量も見込まれている。58kgの斤量を背負いながらも、その身のこなしは実際敏捷!
ケツァルテナンゴやアッシュゴールドとは次元の違うテマエの使い手である!

だがしかし、ブリンカ・スカウタの奥のエキストラ・エンドーの目には緊張が血走り、息遣いは荒かった。
キョーソウバとしての本能・・・あるいは、彼が宿すウマソウル・・・が、目の前の敵のテマエを恐れたのだ。


ステッキも使わず、気配も無く内に付けた
このクロス・メンコのキョーソウバのテマエを!!



ヒットザターゲットの不吉な姿は街の光を受けてまだらに揺れた。
ブリンカ・スカウタがその姿を真近で照準し、ようやく分析結果が表示される。


ピーピピピ ピーピピピ 
チチーッチッチッチ
カチカチカチカチカチカチカチカチ
ポポポポポポポポポポ
フュイーン ピピピピピ
ピー!




「栗毛」 「キン✕タマ」 「以上」

ナムアミダブツ!!

その分析結果は、あまりにも未知!!



エキストラ・エンドーは憔悴した。そのプレッシャーに耐え切れず、ステッキを何発も入れる。
だが、その反撃すらもヒットザターゲットは楽々と躱した。
最早、その光景は戦いになっていない。まるでヒットザターゲットの能力試験にあてがわれた
エキストラ・エンドーが弄ばれているかの様な地獄絵図ではないか!

エキストラ・エンドーはよろめいた。なんとか攻勢を立て直そうとするも果たせなかった。
スタミナの消耗が大きすぎる、走った距離が長過ぎたのだ。
彼の視界は歪み、ステッキは悲しく空を切っていた。もう膝が上がらない。

(何故この所属すらも解らぬ手負いのキョーソウバに、手練である自分が追い抜かされるというのか!
 俺は・・・俺はシャダイのキョーソウバなのだぞ!シャダイの、キョーソウバなのだぞ!!)

そんな彼の意志とは無関係に、無慈悲にヒットザターゲットがトドメを刺す。

「イヤーッ!!」
「グワーッ!!」


・・・ステッキは一度も抜かれることは無かった。エキストラ・エンドーにとってはあまりにも
屈辱的なトドメだ。遥か前方を走るヒットザターゲットは一度だけ無感情な表情を湛えて
振り返ると、何も言わずに彼を置き去りにした。


「・・・サヨナラ!!」
ゴール板を迎えるまでもなく、エキストラ・エンドーは
力尽き、掲示板外へ消えた。



・・・かくして、3頭のキョーソウバがヒットザターゲットの最初の餌食となった。
だがそれは、このクロス・メンコの無慈悲な復讐鬼がこのさき切り拓く血と屍の道の規模からすれば、
ごくごく些細な先触れに過ぎなかったのである。



「・・・・・・」

ネオフナバシの中央部、ノーザン・ステート最上階。
ネオフナバシの妖しい夜景を眼下に見ながら、猛禽類の如き鋭い眼をした一頭のキョーソウバは
エキストラ・エンドーの残した記録を受信した。そのキョーソウバが発するテマエは、並みのモータルなら
あてられるだけで失禁してしまう程のタツジン級であると推測される。

彼は奥のタタミ玉座に鎮座する主を見やった。意見を求めるかのように。
威風堂々とした巨躯から湧き上がる強者の空気、威圧的な姿のケイバ・シティの帝王、そう・・・



シャダイだ!!



ウマスレイヤー「シャダイ」




シャダイは、足元のキャバジョーが差し出すオーガニック・カイバの束を二つ同時に掴みながら、
彼に向かって言い放った。


「捨て置けい!!」


「・・・仰せの通りに。」・・・キョーソウバは静かに去った。
それを見届けたシャダイは


オーガニック・カイバの束にオーガニック・ミソを
たっぷりと塗り、一度に二束食べたのである!!






~つづく~




※実際、大丈夫じゃない気がしてきた



[ 2015/07/01 21:41 ] ウマスレイヤー | TB(0) | CM(3)

い、意外な読み応え…

ウマスレイヤー楽しみにマッテマース!
[ 2015/07/02 00:20 ] [ 編集 ]

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[ 2015/07/02 01:34 ] [ 編集 ]

不意打ち

今日はレース回顧やと思ってたのに

ウマスレイヤーやった(≧∇≦)

でもサポロ、ネオフナバシ間の距離ってどれくらいやろ?

カイバ食べながらとは言え

いくらキョウソウバでも死んじゃいますって(^。^;)
[ 2015/07/02 07:03 ] [ 編集 ]
立札4

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